2007年05月19日
この病気にこの名医Part3
【第95回】早期発見には内視鏡検査
下咽頭がん(3)
咽頭(いんとう)がんの中で日本人に最も多いのが、舌の付け根から食道までの食べ物の通り道にできる下咽頭がんである。下咽頭がんは、がんがかなり大きくならないと症状が出ないという特徴があるだけに「患者さんが『物がのみ込みにくい』などの症状を訴えて受診されたときには、60%以上の方が頸(けい)部リンパ節に転移しているなど、かなりがんが進行した段階になっています」と、岸本誠司教授は指摘する。岸本教授は、東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)頭頸部外科の教授であり、頭頸部がんのスペシャリスト。
その一方で、「物をのみ込んだときに何か引っ掛かる感じ」などの症状を訴えて受診しても「下咽頭がんなどが実際にあるのは100人受診されて1人いるかいないか程度です」。恐れずに、より早く受診すべきである。
検査は「問診」「触診」「視診」から始まる。患者の訴えを聞き、リンパ節の腫れを触って調べ、視診では「間接喉頭(こうとう)鏡」でのどの奥を見る。「だが、下咽頭あたりは暗いので間接喉頭鏡ではよく見えません。がんがかなり大きくなれば別です。だから、ここで重要な検査となるのは内視鏡でしっかり見ることです」。
◎内視鏡検査 頭頸部がんの検査に用いられるのは鼻から入れる細い「経鼻内視鏡」。咽頭反射(吐き気)が起きないので受診した日にも行うことができる。「中咽頭はよく見えますが下咽頭はヒダヒダで深いくぼみになっているため、患者さんに息でほおを膨らませるようにしてもらうと、下咽頭が広がるので良く見えます。見逃されやすい場合があるので、専門医に検査してもらうべきでしょう」。そして、「生検」を行う場合は、内視鏡で組織をとってくる。
◎下咽頭食道造影エックス線検査 がんの進展範囲を調べる。
◎MRI(磁気共鳴画像装置)、CT(コンピューター断層撮影)、頸部超音波検査 がんがどこまで進んでいるかをMRIやCTで調べ、首のリンパ節への転移については超音波が重要な検査となる。「下咽頭がんなど頭頸部がんは他の部位にも一緒にがんができる『広域発がん』タイプなので、食道・胃は消化器内科にお願いして、内視鏡のスクリーニング検査を行います」。30%くらいの人に早期食道がんが発見されることがあるという。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆下咽頭がん手術の名医
▼愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)頭頸部外科・長谷川泰久部長
▼草津総合病院(滋賀県草津市)頭頸部外科センター・永原国彦特別顧問
▼大阪府立成人病センター(大阪市東成区)耳鼻咽喉科・吉野邦俊主任部長
▼近畿大学医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)耳鼻咽喉科・森一功准教授
May 19, 2007 10:00 AM
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