健康連載ブログ

2007年05月18日

この病気にこの名医Part3

【第94回】特徴的な耳への放散痛

 下咽頭がん(2)

 横山ノックさんの死で注目された咽頭(いんとう)がん。その咽頭がんは上・中・下咽頭がんに分けられるが、最も日本人に多いのは下咽頭がんで、たばことお酒に大きく関係するとあって増加傾向にある。

 場所がのどで、食事と呼吸と声に関係するとあって、進行してからでは生命はとりとめても、QOL(生活の質)を大きく落としてしまう。「だからこそ、少しでも早期に発見して欲しいのです」と、強く早期発見を訴えるのは東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)頭頸(とうけい)部外科の岸本誠司教授。頭頸部がんの手術のスペシャリストである。

 男性は女性の4~5倍なりやすく、たばこやお酒を多く飲む人々で50代以上になると十分な注意が必要である。下咽頭のすぐ隣にある喉頭(こうとう)は、息の通り道で声を出すところなので、がんが小さな段階でも声がかすれるので早期に発見できることが多い。

 一方、下咽頭がんの場合は-。「早期には症状がありません。食べ物が通るところなので、早くに症状に気付くと思われがちですが、実際には症状に気付いたときは進行がんということが断然多いのです」。

 進行して気付く症状は、「物をのみ込んだときにのどに引っ掛かる感じがする」「すっきり飲み込めない」。がんの表面が潰瘍(かいよう)化してくると、「物をのみ込んだとき痛みを感じる」ようになる。「その痛みは、のどの痛みなのですが、のどの粘膜にはさまざまな神経が走っていて、耳の神経ともつながっているのです。だから、痛みが耳に走る痛みとして感じるようになります」。「耳への放散痛」は下咽頭がんの特徴的な症状である。

 さらに、下咽頭がんが前方に向かって進行すると、声帯を動かす神経や筋肉に影響を及ぼす。「声帯が動きにくくなって、声がかすれます。もっと進むと食べ物が通らなくなりますし、息が詰まる症状も出てきます」。

 また、下咽頭がんは頸部のリンパ節に転移しやすい特徴がある。そのため、頸部リンパ節が腫れ、触れるとグリグリ感がある。「初診時に60%くらいの人々では頸部リンパ節がすでに腫れています。この状態になるとステージ3以上になります」。のどに異常を感じた人は早めに耳鼻咽喉科や頭頸部外科を受診することが大事なのである。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆下咽頭がん手術の名医
 ▼埼玉県立がんセンター(埼玉県伊奈町)頭頸部外科・西嶌渡部長
 ▼癌研有明病院(東京都江東区)頭頸科・川端一嘉部長
 ▼国際福祉医療大学三田病院(東京都港区)頭頸部腫瘍センター・鎌田信悦教授
 ▼東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)耳鼻咽喉科・加藤孝邦教授

May 18, 2007 10:00 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/11058