2007年05月17日
この病気にこの名医Part3
【第93回】お酒、タバコが大きく影響
下咽頭がん(1)
タレントで元大阪府知事の横山ノックさんが、この5月3日に亡くなった。咽頭がんだった。
耳鼻咽喉科の「咽(いん)」とは「咽頭」のこと。いわゆる“のど”である。
「正確には鼻の突き当たりが上咽頭、口を大きくあけたときに口蓋垂(こうがいすい=のどちんこ)の奥に見えるのが中咽頭、舌の付け根から食道の入り口、ちょうど『のどぼとけ』の後ろが下咽頭です。咽頭はこのようにたてに長い器官です」。
と、咽頭の場所を分かりやすく解説するのは東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区湯島)頭頸部外科の岸本誠司教授。
咽頭が3つに分けられるのは、機能が異なるのみならず、がんの性質も異なるからである。
「上咽頭がんは日本人には極めて少ないがんです。中国や東南アジアの人々に多く、ある種のウイルスが関係しているとも、食習慣、また遺伝とも関係あるといわれています」。
中・下咽頭がんはお酒、タバコと大きく関係しているといわれる。
「特に下咽頭がんです。お酒、タバコ両方の通り道で大きな影響を受けているのです」。
そこで、『日本頭頸部がん学会』(岸本誠司理事長)は禁煙宣言ではなく『禁煙・節酒宣言』を2006年に行い、啓発に努めている。
「タバコは禁煙です。お酒は適量であれば身体に良いものの、過剰になると体に悪さをします」。
中・下咽頭がんの危険因子、タバコについては『ブリンクマン指数』を知ると、危険度が分かる。ブリンクマン指数は「1日のタバコの本数」×「喫煙年数」で出る。1日20本を30年吸ってきた人は、20×30で600になる。600を超えると高リスクグループとなる。一方、お酒は『酒指数』を知る。「(日本酒に計算して)1日に飲む合数」×「飲んできた年数」。1日に3合(ビール大ビン3本)を20年飲んできた人は、3×20で60になる。酒指数は60を超えると高リスクグループとなる。
加えて、下咽頭がんでは50代以降の鉄欠乏性貧血の女性がなりやすい。
「下咽頭の輪状後部(りんじょうこうぶ)という場所にできるがんは、貧血時に粘膜に変化を起こしやすく。長い経過と共にがん化するのです」。
と、岸本教授は注意を喚起する。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆下咽頭がん手術の名医
▼北海道大学病院(札幌市北区)耳鼻咽喉科・福田諭教授
▼宮城県立がんセンター(宮城県名取市)耳鼻いんこう科・松浦一登医長
▼国立がんセンター東病院(千葉県柏市)頭頸科・林隆一医長
▼東京医科歯科大学(東京都文京区湯島)頭頸部外科・岸本誠司教授
May 17, 2007 10:00 AM
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