健康連載ブログ

2007年05月15日

この病気にこの名医Part3

【第91回】アルベスト吸引者は早期受診

 悪性胸膜中皮腫(3)

 アスベスト(石綿)が原因で発症する悪性胸膜中皮腫。肺がん同様に、悪性中皮腫もがんの一種である。「悪性胸膜中皮腫は、胸膜という肺の周囲を覆っている薄い膜にできるがんです。もともとセロハンのように薄い膜が、数ミリにも厚くなります」と、肺がん、悪性胸膜中皮腫の治療で有名な東京医科大学病院(東京都新宿区)呼吸器外科の加藤治文教授は言う。

 薄い胸膜がぶ厚くなると肺を圧迫し始めるので、「胸の痛み」「息切れ」「発熱」などの症状が出て、呼吸困難は厳しくなる。「そのような症状は末期で、最近はアスベストを吸っていると思われる方々が発症前、また、早期に受診されますので症状はありません。肺がんも早期には症状がありません。それと同じです」。

 検査を行って悪性胸膜中皮腫と診断がつくと、治療になる。当然、悪性胸膜中皮腫のタイプ、また、病期によって対応は大きく異なる。悪性胸膜中皮腫のタイプは「上皮性」と「非上皮性(肉腫)」に分けられる。「上皮性とは粘膜上皮にできるがんのことです。粘膜上皮とは空気に接するところの組織です。一方、非上皮性の肉腫は、筋肉とか骨とか空気に触れないところにできるがんのことです。上皮性が約60%を占めています」。

 病期分類は米国国立がん研究所(NCI)によると、以下のようである。

 ●病期1 壁側胸膜内に限局している悪性胸膜中皮腫。つまり、片側に限局している。
 ●病期2 病期1に胸腔(きょうくう)内のリンパ節転移が加わったケース。
 ●病期3 リンパ節転移などに関係なく、胸壁、縦隔、心臓、横隔膜、腹膜を貫いている悪性胸膜中皮腫。
 ●病期4 遠隔転移のある悪性胸膜中皮腫。

 そして、病期1を「限局型悪性胸膜中皮腫」とし、病期2、3、4を「進展型悪性胸膜中皮腫」と2つに分類している。治療は手術、化学療法、放射線療法とあるが、肺がんがそうであるように、限局型でなければ生存率は厳しい。「限局型で上皮性であれば、手術成績は2年生存率68%、5年生存率46%と報告されています。いわゆる早期ならば治る可能性がかなり高いのです」。

 だからこそ、アスベストをかなり吸引していた可能性のある人は、早く専門医療機関を受診すべきである。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆悪性胸膜中皮腫の名医
 ▼国立病院機構姫路医療センター(兵庫県姫路市)呼吸器内科・中原保治医長
 ▼兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)呼吸器・RUC科・中野孝司教授、福岡和也准教授
 ▼兵庫県がんセンター(兵庫県明石市)呼吸器内科・根来信一部長
 ▼岡山大学医学部・歯学部付属病院(岡山市)腫瘍・胸部外科・伊達洋至教授

May 15, 2007 10:00 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/11042