健康連載ブログ

2007年05月14日

この病気にこの名医Part3

【第90回】アスベストは「静かな時限爆弾」

 悪性胸膜中皮腫(2)

 「静かな時限爆弾」と恐れられるアスベストによって引き起こされる悪性中皮腫。その1つが悪性胸膜中皮腫である。アスベストを吸い込む期間が長かったり、量が多いと10年から30年以上の潜伏期間を経て発症する。発症すると進行が早いのが特徴である。

 日本で最初にアスベスト被害が出たのは大阪府の泉南地域に多く集中していたアスベスト紡織の労働者。第2次大戦前の1940年ごろのことである。それ以降、アスベスト被害は増加し、やっと今日、労災認定されるようになってきた。悪性胸膜中皮腫の認知度も高まり、アスベストを吸ったことのある人が、その病気の治療に力を注いでいる病院を多く受診するようになってきた。

 ◎問診 「どの病気でもそうですが、まずは問診が大事です。とりわけ、アスベストを吸った経験のある方々が、もしやと思って受診されるケースが多くなりましたので、患者さんの話を十分に聞き出す必要があります」と、肺がん同様に悪性胸膜中皮腫にも力を注ぐ東京医科大学病院(東京都新宿区)呼吸器外科の加藤治文教授は言う。

 もちろん、アスベストを吸った本人ではなく、家族などのケースでは「家族歴」なども聞く。また、「呼吸困難」「胸の疼痛(とうつう)」「腹部の疼痛や膨張」「腹部のしこり」「原因不明の体重減少」の1つでもある場合は至急に医師の診察を受けるべきである。

 ◎胸部単純エックス線検査 悪性胸膜中皮腫診断ガイドラインでは、簡便さと身体への負担の少なさから勧められている。

 ◎CT(コンピューター断層撮影)検査 この検査が最も重要。「肺の周囲を覆っている胸膜は、正常なときはセロハンより薄いので、CTでも何も見えません。それが、悪性胸膜中皮腫になると5ミリくらいに胸膜肥厚という状態になり、CTですぐに分かります」。

 そして、疑わしい場合は確定診断に結び付けるため、「経皮的針生検」や「胸腔(きょうくう)鏡下生検」が行われる。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆悪性胸膜中皮腫の名医
 ▼愛知県がんセンター(名古屋市千種区)呼吸器内科・光冨徹哉副院長、樋田豊明部長
 ▼大阪府立成人病センター(大阪市東成区)呼吸器外科・児玉憲診療局長
 ▼大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)呼吸器外科・多田弘人副院長
 ▼近畿大学医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)腫瘍内科・中川和彦教授

May 14, 2007 10:00 AM

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