健康連載ブログ

2007年05月07日

この病気にこの名医Part3

【第84回】CT検査で分かりやすい説明可能に

 顎変形症(4)

 顎(がく)変形症で手術を受ける人が増えている。上下のあごの大きさ、形、位置が異常で、機能と美の両面で不調和を起こしているもので、「受け口」「出っ歯」「開咬(こう)」「顔面非対称」などがある。

 「顔面非対称とは、顔を正面から見ると顔が曲がっている、つまり、あごが横にずれている状態です。顔の目から下の部分が左右どちらかに曲がっているので、左右の目をつないだラインと唇のラインが平行になっていないのです。もちろん、そのためにかみ合わせも悪くなっています」。顎変形症の治療で定評のある、ふかわ矯正歯科(神奈川県鎌倉市)の府川俊彦院長は言う。

 問診を十分に行い、「歯科矯正セファログラム(頭部エックス線規格写真)」「歯型」「顔と口の写真」に加え、必要に応じて「CT(コンピューター断層撮影)検査」も行う。「CTのデータから顔面骨のモデルを作製し、画面上で骨を延長したり離断したりと、手術をシミュレーションできるようになってきました。また、必要であれば顔面骨の実体模型を作って、どのような手術方法を選択するかなど、治療計画を立て、患者さんに説明しています」。

 例えば上顎に変形がある場合、傾斜している唇のラインの下がっている側を持ち上げるか、上がっている側を下げるか、それとも、鼻の付け根あたりを中心にして下がっている側を持ち上げ、上がっている側を下げるか、バランスを見て最も良い方法が選択される。

 術前矯正治療が行われ、矯正歯科と連携を持つ口腔(こうくう)外科、もしくは形成外科に入院して手術を受ける。

 例えば短い側だけを延ばす場合には「骨延長術」が行われることもある。前方に出す、後退させるのではなく、垂直方向に上顎や下顎を延ばす。延ばす側の顎骨を離断してチタン製のプレートとボルトで骨を留める。歯肉を縫合して傷の治りを待ち、約1週間後から外に出ているネジを回すと骨と骨が離れる。

 「1日に0・5~1ミリずつ骨を離すと空間を埋めるために骨が再生します。一般的にはネジは外科医が回しますが、患者さん自身に鏡を見ながら行っていただくこともあります」。骨延長術はあごの成長が止まった段階で、あまり骨が硬くない10代後半から20代で行うのが一般的である。もちろん、例外もある。「先天的な病気のため上顎が大きく後退して気道が圧迫され、生命にかかわるような状態で生まれてくるお子さんもいらっしゃいます。その場合は生後早い段階で骨延長術が行われます」。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆顎変形症の名医
 ▼大阪大学歯学部付属病院(大阪府吹田市)矯正科・高田健治教授
 ▼広島大学歯学部付属病院(広島市南区)矯正科・丹根一夫教授
 ▼長崎大学医学部・歯学部付属病院(長崎市)形成外科・平野明喜教授

May 7, 2007 10:00 AM

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