健康連載ブログ

2007年05月06日

この病気にこの名医Part3

【第83回】出っ歯の多くは下顎後退タイプ

 顎変形症(3)

 顎(がく)変形症にはいろいろ種類がある。前回紹介した「受け口」が代表的なものだが、今日はそれとは反対の「出っ歯」の治療を紹介する。

 出っ歯の治療を希望して矯正歯科を受診すると、まず問診が十分に行われた後、「歯科矯正セファログラム(頭部エックス線規格写真)」「歯の模型」「顔や口の写真」などによって、出っ歯の原因が調べられる。そして、診断が下ると治療計画が立てられ、術前矯正治療が行われた後、手術に入る。手術はその矯正歯科と連携している口腔(こうくう)外科、もしくは形成外科で行われる。

 「日本人には鳥の顔に例えられる『鳥貌(ちょうぼう)』が多くみられます。上顎が突出しているのではなく、下顎が後退したいわゆる、あごなしタイプです。この場合は上顎を後退させるのではなく、下顎を前に出した方がバランスが取れます」。顎変形症の治療で定評のある、ふかわ矯正歯科(神奈川県鎌倉市)の府川俊彦院長は治療方法を話す。「ただし、下顎を前に出すのは顎関節に負担が掛かるので、慎重に手術を行う必要があります」。

 下顎を前に出すときは、下顎の左右の骨を矢状(しじょう)分割する。斜めに切って骨を前へスライドさせて骨の重なった部分をチタン製のプレートやボルトで留める。状況によっては骨延長術を用いる場合もある。「下顎を前方に出すと骨の周囲の粘膜とか皮膚が突っ張って元に戻ろうとします。すると、顎関節に負担が掛かることがあります。ですから、この方法は顎関節の弱い方に積極的には行いません。その場合は上顎の犬歯の後ろの小臼歯を抜歯し、歯1本分の距離だけ後退させて対応するケースもあります。この場合は上顎全体を後退させるのではなく、前の部分のみの後退です」。

 大人の場合は「期間が短い」ことと、「骨が硬くて矯正だけでは対応しにくい」ことから手術が選択されることもある。もちろん、患者の希望により、手術をせずに矯正治療のみで治すこともある。例えば、上顎の小臼歯を抜き、一時的に奥に固定用のインプラントを埋め、それを固定源(支え)として出っ歯を治す方法もある。「ただし、かみ合わせは治っても骨の形の変化は少ないのです。ですから、患者さんの希望をよく聞き、矯正治療には限界があること、手術をしないと治らないケースもあることを知ってもらうように努めています」。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆顎変形症の名医
 ▼ふかわ矯正歯科(神奈川県鎌倉市)府川俊彦院長
 ▼大和徳洲会病院(神奈川県大和市)歯科口腔外科・中村篤部長
 ▼新潟大学医歯学総合病院(新潟市中央区)口腔外科・斎藤力教授

May 6, 2007 10:00 AM

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