健康連載ブログ

2007年05月05日

この病気にこの名医Part3

【第82回】矯正だけでは限界ある「受け口」

 顎変形症(2)

 上下のあごの大きさ、形、位置が異常で、機能と美の両面で不調和を起こしている顎(がく)変形症。その1つに「受け口」がある。受け口は下顎が上顎より前に出て、下の歯が上の歯を隠す形のかみ合わせになっている。

 「うまく物がかめないので、かみ合わせを治してほしいと希望されて来られる方もいらっしゃいますが、あごが出ているのが気になる等、審美面でコンプレックスがある方も意外と多いのです。しかし、矯正治療だけでは限界があります。中には手術を行わないと治らないケースもあります。私のところで初めて手術で治す方法を知った方もかなりいらっしゃいます」と、顎変形症の治療に力を注いでいるふかわ矯正歯科(神奈川県鎌倉市)の府川俊彦院長は言う。

 どのような治療方針を立てるかは、十分に問診を行い、検査の後に行う。

 ◎歯科矯正セファログラム 頭部のエックス線規格写真のことで、診断治療に最も重要な検査。「受け口の状態は1つではありません。下顎が出ているから受け口になっているのか、上顎が後退しているから受け口になっているのか、それはセファロを分析して判断します」。

 ◎下顎運動検査・咀嚼(そしゃく)筋電図検査 下顎運動検査は機器を使って下顎の動きを治療の前後に記録。そして、改善度を調べる。咀嚼筋電図検査は咀嚼筋の活動状況を、顎の皮膚に電極を張って調べる。

 「あとは、歯型から歯並びの模型をつくり、顔と口の写真を撮ります」。検査資料をもとにして診断、治療計画を立て、その結果を患者に説明する。手術の前に術前矯正治療を行う。「手術後、上下の顎の位置関係が変わった時に正常なかみ合わせになるように歯を並び変えるのです」。

 そして、下顎が大きく突出している場合は、下顎の骨を離断して後退させ、チタンのプレートやネジで留める。上顎が後退している場合は、やはり上顎の骨を離断して前へ出し、プレートとネジで留める。「上顎の前方への移動距離が5~6ミリ以内であれば、骨は時間とともにできてきます。それ以上になると骨の移植が必要な場合もあります。ただ、今日では骨延長術という治療方法が確立してきましたので、骨の移植は不要となりました」。

 術後に再度矯正治療を行って微調整を行う。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆顎変形症の名医
 ▼東京医科歯科大学歯学部付属病院(東京都文京区)矯正外来・相馬邦道教授、森山啓司教授
 ▼昭和大学歯科病院(東京都大田区)矯正科・槇宏太郎教授
 ▼横浜市立大学医学部付属市民総合医療センター(横浜市南区)歯科・口腔外科・矯正歯科・大村進准教授
 ▼北里大学病院(神奈川県相模原市)形成外科・美容外科・山崎安晴講師

May 5, 2007 10:00 AM

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