健康連載ブログ

2007年05月04日

この病気にこの名医Part3

【第81回】体に負担少ない骨延長術

 顎変形症(1)

 顎(がく)変形症の治療のために、矯正歯科を受診する人が増えている。それは、子供の親、また、本人が大人の場合は本人自身のデンタルIQが高く。治療を希望するからである。

 加えて、普通の矯正治療では健康保険の適用は認められていないが、顎変形症と診断され、外科的手術が必要な場合は保険適用となるからである。

 「顎変形症の矯正治療を保険でできる施設基準を満たした医療機関で、きちっと顎変形症に取り組んでいる矯正歯科医に相談してみるべきです」と、アドバイスするのは、ふかわ矯正歯科(神奈川県鎌倉市)の府川俊彦院長。そして、顎変形症の定義を、府川院長は以下のように話す。

 「上顎の骨と下顎の骨、また両方の顎の大きさ、形、位置に異常を起こしており、そのために上下の顎の関係がずれているものをいうのです。当然、咬合(かみ合わせ)も異常を起こしています。機能と美的なものが不調和状態にあるものを総称して顎変形症といいます。結果として外科的手術が必要となる骨格性の不正咬合といえます」。
 要素として「形」「大きさ」「位置」の3点がポイント。顎変形症の原因は遺伝といった先天的なものや、外傷などによる後天的なものなど、さまざま。当然、原因が分からないケースも多い。

 顎変形症と診断されるものとしては「受け口」「出っ歯」「顔面非対称」「開咬」などがある。

 治療は矯正歯科医だけでは行えず、口腔(こうくう)外科医、形成外科医、また、頭にも影響を与えるケースでは脳神経外科医も加わってのチーム医療が行われている。
 その治療の中で、90年代後半に登場し、今日ではだいぶ確立した治療として注目されているのが「骨延長術」。

 「たとえば上顎を前方に出すようなケースでは空洞ができてしまうので移動距離が大きい場合は、それを補うためには骨を他から移植する必要があります。ところが、骨延長術では骨と周囲組織、つまり血管、神経、皮膚なども含めて少しずつ延ばしていきますので骨の移植は必要ありません」。

 離断した骨と骨をチタン製の延長器で固定する。この延長器は外に出ているネジをまわすと骨と骨を離すことができ、1日ごとに0・5~1ミリ引き離す。離された分だけ骨が再生してくる。まさに体に負担の少ない治療法である。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆顎変形症の名医
 ▼北海道大学病院歯科診療センター(札幌市北区)矯正科・飯田順一郎教授
 ▼東北大学歯学部附属病院(仙台市青葉区)矯正歯科治療室・山本照子教授、顎顔面外科治療室・川村仁教授
 ▼東京歯科大学千葉病院(千葉市美浜区)口腔外科・高野伸夫教授、高木多加志準教授
 ▼東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)オーラルメディシン・外木守雄準教授

May 4, 2007 10:00 AM

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