健康連載ブログ

2007年05月24日

この病気にこの名医Part3

【第100回】日本での外科的治療300例

 肥満症(4)

 肥満症の治療は行動修正療法。食事・運動を含めて生活の中の「肥満に結び付く悪い点」に気付き、それを修正していくことから始まる。食事療法、運動療法も一生懸命自分なりに頑張った。が、「ダメだ!」と音を上げる人は少なくない。では、次の段階として薬物療法になるのだろうか。

 「目標に達しないと、一般的には薬と思われるでしょうが、日本には肥満に使える薬はありません。正確にいいますと、『マジンドール(商品名・サノレックス)』が1つあります。ただ、この薬はBMI(ボディーマスインデックス)35以上の人で、3カ月間食事・運動療法を行って効果がなく、危険な肥満症の人に使ってよいとされています。それも3か月間のみです」と、東京逓信病院(東京都千代田区)内分泌代謝内科の宮崎滋部長は話す。

 BMIは体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗で、25~30が肥満1度、30~35が肥満2度、35~40が肥満3度、40以上が肥満4。マジンドールが使えるのは肥満3度以上の重症肥満の人々である。服用期間が3カ月と限られているのは、副作用が大きく関係している。「マジンドールには依存性があり、睡眠障害も出てくるからです。食欲抑制薬は脳内の神経に作用しますので、精神症状を起こしやすいのです」。新しい肥満症治療薬は今、2剤臨床試験中で、使えるようになるにはまだ2~3年はかかると思われる。

 BMI35を超える日本人は約50万人いると推測されている。この人々に対して、薬がダメならということで、外科治療が行われている。これまでは胃を小さくする開腹手術が行われていたものの、実際に手術を受ける人はほとんどいなかった。そこに04年から登場したのが、内視鏡を使ってシリコーン製のバルーン(風船)を胃の中に留置し、胃の容積を減らす「胃内バルーン留置術」と、腹腔鏡を使って胃の入り口部分をシリコーン製のバンドで締めて、食べ物を通りにくくする「胃バンディング術」。

 「アメリカでは06年だけで12万人の肥満症患者さんがこれらの治療を受けたといいます。日本では、この2つの術式も含めて外科的治療を受けた人は300例弱の状況です」。

 重大な副作用はないと報告されているので、今後は、受ける患者がもう少し増えると思われる。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆肥満症の名医
 ▼住友病院(大阪市北区)内科・松沢佑次病院長
 ▼神戸大学病院(神戸市中央区)糖尿病・内分泌内科・春日雅人教授
 ▼大分大学医学部付属病院(大分県由布市)内分泌・糖尿病内科・吉松博信教授

May 24, 2007 10:00 AM

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