2007年02月10日
こちら消化器科です
【第64回】乳酸菌は取り続けることが大切/最終回
大腸ポリープ(5)
大腸ポリープ(腺腫=せんしゅ)は大腸がんの前段階。その再発やがん化を防ぐにはどうすればいいのか。大阪中央病院消化器科部長の石川秀樹先生は、実際にポリープを摘除した患者の協力を得て、介入試験を行っている。簡単にいえば、研究対象の食物を食べてもらったり、その生活を分析してがんを防ぐものを見つけているのである。その結果をみると、意外な常識のウソがかなりあることが分かる。
食物繊維は、サプリメントで取ってもがん予防には役立たない。さらに、脂肪は取り過ぎも良くないが、取らな過ぎも良くないそうだ。脂肪を取り過ぎると、大腸がんの危険が高まることは以前から指摘されている。ところが、少な過ぎてもポリープが増える。総摂取カロリーの24~27%が一番ポリープの発生が少なかったそうだ。「日本人の脂肪の摂取量が増えたといっても、米国ほどではありません。豚や牛の赤身肉はよくありませんが、植物性脂肪、特にリノール酸は不足しないように取ることを勧めたい」と石川先生。
同じように、肥満も良くないが、やせ過ぎも良くないらしい。女性の場合BMI(ボディーマスインデックス)20を切るとポリープが増えたという報告もある。モデルなみのスリムな体というのも、問題なのである。
今回の研究で、大腸がんを防ぐ方向に働くのではないかと期待されているのが、乳酸菌。複数のポリープを摘除した人に、乳酸菌製剤を毎日飲んでもらったところ、できるポリープの数は変わらなかったが、異型度に差が出た。異型度とは、細胞の顔つきがどれだけ正常細胞から離れているかを示す尺度で、軽度、中等度、高度と3種に分けられる。高度異型成は、極めてがんに近い段階だ。乳酸菌製剤を飲んでいる人は、中等度以上の異型成が飲んでいない人の3分の2以下だったそうだ。
「乳酸菌は、ポリープの発生を防ぐ力はあまり強くありませんが、がん化の方向に進むのを抑える働きがあるのではないか」と石川先生。乳酸菌製剤は摂取をやめると2週間で消えるので、続けることが大切だそうだ。このほか、節酒やニコニコペースの運動などががん予防に役立つ。「それぞれの体質にあったがん予防法を見つけることが大切です」と石川先生は語る。(おわり)
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆介入試験 複数のポリープを内視鏡で摘除した人、つまり大腸がんのリスクが一般の人より高い人が対象。食事指導のみ、食事指導+食物繊維のビスケット、食事指導+乳酸菌、食事指導+ビスケット+乳酸菌という4つのグループに分けて4年間追跡調査が行われた。
February 10, 2007 08:45 AM
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