健康連載ブログ

2007年02月06日

こちら消化器科です

【第60回】がんになるのは腺腫の一部

大腸ポリープ(1)

 「大腸にポリープがありますねえ」。ドックや検診でそう言われてドキッとした人も多いはずだ。大腸がんは、日本でも急増しているがんの1つで、女性ではすでにがん死のトップとなっている。大腸ポリープといえば、大腸がんの前段階と思い込んでいる人も多いのではないだろうか。

 しかし、大阪中央病院消化器科部長の石川秀樹先生によると、「一口にポリープといってもいくつかの種類があり、がんとは全く関係のないタイプもある」そうだ。もともとポリープというのは、イボのような突起物を指す言葉。大腸の壁から内側に飛び出したできものは、すべてポリープと呼ばれる。

 その中には、炎症性のポリープや過形成によるポリープもある。炎症性ポリープは、潰瘍(かいよう)性大腸炎や赤痢など、強い炎症を伴う腸の病気などが原因でできることが多い。過形成によるポリープは、文字通り細胞の増殖が少し多くなり過ぎて粘膜が盛り上がった状態。石川先生によると、一種の老化現象で、年を取るとほとんどの人にあるという。

 ポリープといっても、これらは正常な細胞がイボのようになったものなので、放置しても大丈夫。大腸がんになる心配はない。問題は、「腫瘍(しゅよう)」に分類されるポリープだ。この中で悪性のものが、がん。といっても「ポリープの形をしたがんは、ほとんどが早期がん」だそうだ。大腸がんが進行すると、もはやポリープのような形ではなくなる。むしろ、ポリープの段階で見つかったことを、喜ぶべきなのである。

 一方、良性の腫瘍は「腺腫」と呼ばれる。石川先生によると「ポリープの80%は腺腫で、直腸やS状結腸によくできます。大腸がんとの関係で一番問題になるのも腺腫で、ポリープといえば腺腫を指すことが多いのです」。ポリープが大きくなるとがんになる、というのも腺腫のこと。腺腫はがんと同じように大腸の粘膜上皮の細胞が異常をきたして増殖したもの。そのため、がんの手前の状態といわれる。事実、多くの大腸がんが、腺腫から発生すると考えられているそうだ。

 しかし、それならば腺腫はすべてがんになるのかといえば、そうではない。「がんになるのは、腺腫の一部だけです」と石川先生は語っている。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆大腸がんとポリープ 以前は、大腸がんはすべてポリープの形から始まると思われていたが、今はデノボがんといって平たんなままがん化するタイプもあることが分かっている。形の違いは、遺伝子変異の順番の違いではないかともいわれている。

February 6, 2007 09:28 AM

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