2007年02月05日
こちら消化器科です
【第59回】水分補給と安静が要、下痢止めは不可
食中毒(4)
冬にはやる食中毒は、ノロウイルスだけではない。都立駒込病院感染症科医長の味沢篤先生によると「1歳以降の子供が発症しやすいのが、ロタウイルスによる食中毒で、母親にもうつる」そうだ。これは嘔吐(おうと)や下痢をして便が白くなることから、小児冬季白色下痢症と呼ばれている。
さて、食中毒の原因はさまざまだが、基本的には「水分補給と安静」が治療の要。例えば、ノロウイルスの場合、ウイルスに対する特効薬はないので、病院でも絶食の上、点滴をして下痢や嘔吐で失われた水分を補給し、脱水の補正をする。使うとすれば整腸剤ぐらいだ。サルモネラ菌など細菌が原因だと、症状によっては抗生物質を使うこともあるそうだ。
したがって、大した症状でなければ「吐き気が治まってきたらミネラルなどを含むスポーツ飲料で水分を補給し、家で安静に寝ている」。それだけでも、たいてい2~3日で回復するそうだ。腸を刺激しないために、スポーツ飲料は冷やさないで常温で飲む。食事もしばらくはコーヒーやアルコール、香辛料など刺激物は避ける。大人ならば2~3日絶食しても、どうということはないそうだ。
ただし、赤痢やコレラは早めに抗生物質を使った方がいいので、海外旅行から帰国後の下痢や嘔吐は病院に直行する。また、一般の食中毒でも吐き気が強くて脱水でフラフラになったり、高齢者や幼児の場合は病院に行った方が良い。
そして、家庭で大事なことは下痢止めを使わないこと。食中毒の下痢や嘔吐は、菌や毒素などを体の外に出すための反応。無理に止めるのはよくない。0157(腸管出血性大腸菌)がはやった時にも、下痢止めを使った人の方が毒素による腎不全や脳症を起こした人が多かったそうだ。
また、特殊な食中毒として味沢先生が注意して欲しいと言うのがボツリヌス菌。食中毒は普通、下痢や嘔吐を起こすが、ボツリヌス菌は神経毒。毒素量が多いと、まぶたが上がらなくなったり、体がまひし、最終的には呼吸機能がまひして死に至ることもある。昔は、処理状態の悪い缶詰などから感染することが多かったが、今でもたまに国内でも発生しているそうだ。この場合は、ただちに治療が必要なので病院に急いでほしい。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆ボツリヌス菌 酸素を嫌う嫌気性菌。日本でも昔、からしレンコンから発生して問題になったことがある。毒素量が微量ならば症状が出ないこともあるが、大量になると24時間以内に死亡することもある。血清を打ち、必要ならば呼吸管理を行うなど迅速な対応が必要。
February 5, 2007 10:16 AM
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