2007年02月04日
こちら消化器科です
【第58回】新鮮でも「生」には御用心
食中毒(3)
この冬は、ノロウイルスによる食中毒が猛威を振るったが、ほかにもさまざまな菌による食中毒がある。
都立駒込病院感染症科医長の味沢篤先生によると、「突然、吐き気と下痢がきたら、疑われるのが食中毒」だそうだ。味沢先生によると、例年一番多いのはサルモネラ菌による食中毒。サルモネラ菌は、生卵や鳥ワサなどから感染する細菌。「以前は卵の殻に付着していたので卵を洗えば良かったのですが、今は卵の中にもいるので、古くて保存状態が悪い生卵を食べると危険」と味沢先生。調理器具などに付着して生野菜などに付くと、1時間ぐらいで症状を起こすのに十分な量に増える。もっともサルモネラ菌は感染しても症状が出ない人も多いそうだ。
鳥や豚、牛など肉類から感染するのが、カンピロバクターやO157(腸管出血性大腸菌)など。調理する人の手のけがなどから食べ物に入るのがブドウ球菌。腸炎ビブリオは、海にすむので生の魚介類を介して感染することが多い。この場合は、いくら新鮮でも菌がいる魚介類を生で食べれば感染する。
味沢先生によると、基本的に食中毒は、微生物が食物の中で毒を作る、体内に入った微生物が腸の中で増殖して悪さをする、といった仕組みで起こることが多いそうだ。黄色ブドウ球菌は前者のタイプで、症状が出るのは感染して8時間後くらい。「朝作ったおにぎりに菌が付着していると、これをお昼に食べて夜症状が出る」というパターンだ。後者がサルモネラ菌やカンピロバクターなどで、1~5日後に症状が出る。コレラやO157は、体内で毒素を作るタイプで、症状が出るのは感染して24時間以上たってから。O157は、1週間も後だそうだ。
たいていは下痢と嘔吐(おうと)で終わるが、コレラや赤痢は要注意。世界的に軽症になっているとはいえ、赤痢菌はノロウイルスと同じくらい感染力が強い。味沢先生が、特にコレラ菌に注意して欲しいというのが胃を切除した人。細菌をやっつける胃酸の分泌がないので「重症になりやすく、中にはひどい下痢で1日に10リットルも水分が出てしまう人もいる」そうだ。
海外旅行はもちろん、食中毒も今や夏に限らないことをお忘れなく。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆下痢の仕組み 一般的には大腸を食べ物が通過する速度が早くなり、水分の吸収が十分できなくなって下痢をする。赤痢菌の場合は、大腸の壁をただれさせるので、大腸が過敏になって下痢をする。これに対して、コレラ菌は腸壁の水分透過性を高めて、体の水分をどんどん出してしまう。
February 4, 2007 09:06 AM
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