健康連載ブログ

2007年02月02日

こちら消化器科です

【第56回】ノロウイルス免疫は短期

 食中毒といえば、梅雨時から夏の病気と思いがち。そうした思い込みを覆したのが、昨年暮れのノロウイルスによる急性腸炎の大流行だった。

 感染症治療の中核病院である都立駒込病院感染症科医長の味沢篤先生によると「最近は、食品の温度管理が良くなって夏場の食中毒は減ってきました。その一方で、冬でも室内は暖かいので、夏に繁殖する細菌を冬でも見るようになってきたし、ノロウイルスのように冬にはやる食中毒もあります。そのため、食中毒は通年性の病気になっている」という。

 ノロウイルスも、毎年冬に流行を繰り返していたらしい。「今年の風邪はおなかにくる」とか「カキにあたった」と言うのも、実はノロウイルスによる食中毒が多かったらしい。ただし、通常流行のピークは1月から2月。それが今回は前倒しになって、11~12月に例年の倍以上の患者が発生した。「夜間の救急にはこの時期、4~5人ノロウイルスによる急性腸炎の患者さんが来るのですが、今年は一晩中患者が途切れないという日もあったようです」と味沢先生。

 ウイルスが変異したのではないかという話も聞くが、流行の原因はよく分かっていない。米国でも02年に爆発的な流行をみせたが、今は落ち着いているそうだ。「SARS(重症急性呼吸器症候群)も流行したのは03年だけ。感染症には、流行する年があるようです。ノロウイルスの場合も、来年また流行すれば、ウイルスの遺伝子変異なども考えなくてはならないでしょう」と味沢先生はみる。

 そもそもノロウイルスは、十分に火を通していないカキなどの2枚貝から感染するとされているが、実際には感染源が分からないことが多い。しかも感染力が非常に強いので、いったん感染者が出ると人から人への感染症になってしまう。しかも、ノロウイルスは一度感染すると数カ月間の短期の免疫はできるが、ハシカのように長期に続く免疫ができるわけではない。だから「感染するとその年は大丈夫ですが、翌年はまた感染する可能性があるのです」。今年もまだノロウイルスの流行期は続いているのである。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆ノロウイルス 1968年に米国で集団発生した急性腸炎の患者の便から見つけられたウイルス。後にその形状から小型球形ウイルスと総称されていたが、その中で急性腸炎を起こすウイルスが02年にノロウイルスと正式に命名された。

February 2, 2007 10:10 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/9127

このリストは、次のエントリーを参照しています: 【第56回】ノロウイルス免疫は短期:

» ノロウイルスのリンク集 from ノロウイルスサイト
ノロウイルスのリンク集形式のサイト情報です。の情報収集にお役立てください。 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2007年07月20日 13:28