2007年02月01日
こちら消化器科です
【第55回】無症状胆石摘出は意味がない
胆石症(5)
検診で、胆石があると言われたけれど、特に症状もない。けれど、発作が起こるのは嫌だし、胆石があると胆のうがんになりやすいとも聞く。治療をするべきなのだろうか。こんな迷いを持つ人も少なくないはずだ。筑波大学臨床医学系消化器内科講師の正田純一先生によると、検診で見つかる胆石の7割は無症状。治療に迷う人が多いのも当然なのである。
しかし、正田先生によると「今は無症状の胆石は年に1~2回、超音波で検査をしながら経過をみる」というのが、一致した意見だそうだ。というのも、無症状胆石の経過が分かってきたからだ。
まず、無症状の胆石を放置しても、発作が起こることは少ないそうだ。「痛みなどの発作が起こるのは年に1~2%で、10年経過をみても20%」というところだという。8割の人は何も起こらないのである。
また、胆石の人が心配するのは胆のうがん。胆のうがんの人には、胆石を持つ人が多いことから、胆石があるとがんができやすいのではないかと言われてきた。しかし、実際には「胆のうがんになる確率は年に0・1%ぐらいで生涯を通じても2~3%以下。石のない人に比べても多くないのです」。したがって、予防的に無症状の胆石を取っても意味がないのだ。むしろ、がんは炎症によって発生する活性酸素などが原因になるので、症状のある胆石の方がリスクは高いことになる。症状のある胆石は摘出してしまうので、実際には問題にならないことになるのだ。
正田先生は「胆のうも大事な臓器なのですから、きちんと働いているならば、むやみに取らないほうがいい」と語る。いずれは体が順応するが、胆のうを摘出すると胆汁を濃縮できなくなって、脂肪の消化吸収力が低下し、中には下痢を起こしやすくなる人もいる。
逆に摘出した方がいいのは、胆のうが石で充満して超音波で胆のうの様子が分からない場合。これは胆のうにがんができても見えないので、摘出した方がいい。胆のうの壁が石灰化している場合(陶器様胆のう)はがんのリスクが高い。また、胆のうが委縮するなど変形が強い場合にも手術をした方がいいとされている。一般的には、定期検査さえ受ければ、無症状胆石はあまり気にしなくていいのである。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆胆管結石 胆管結石はいったん胆管内で詰まると、重症の胆管炎を起こす危険があるので、無症状であっても摘出することが多い。無症状胆石は、基本的に症状のない胆のう内の胆石を指す。
February 1, 2007 09:13 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/9118
