2007年02月03日
こちら消化器科です
【第57回】ウイルス10個で感染するノロ
食中毒(2)
突然の吐き気や嘔吐(おうと)と、それに続く下痢。こんな症状から始まるのが、ノロウイルスによる食中毒だ。感染から1~2日で症状が出る。人によっては微熱が出たり、筋肉痛など風邪と似た症状を伴うこともある。
今回、ノロウイルスで驚かされたのはその感染力の強さ。食中毒は食べ物が原因だから、食べ物に注意して手洗いをきちんとしていればたいていは防げると思っていた人が多いのではないだろうか。ところが、ノロウイルスは食べ物から感染して食中毒を起こすと、その後は感染者が火元になってヒトからヒトにうつる。むしろ、こちらの方が強いといってもいいほどだ。
都立駒込病院感染症科医長の味沢篤先生によると「ノロウイルスはウイルス10~100個ぐらいで感染する」という。卵などから感染するサルモネラ菌の場合、食中毒を起こすには100万個は必要というから、いかに感染力が強いかが分かる。だから、感染者の吐いたものや便から簡単に感染する。この中には、ウイルスが多量に含まれるので、トイレでその飛沫(ひまつ)に触れただけでも急性腸炎を発症するのだ。
味沢先生によると、トイレットペーパーは薄いので「用便後は、たいていペーパーを通して手に菌がついてる」という。ここで、入念に手洗いをしないと辺り一面にウイルスをばらまくことになる。しかも、厄介なことにノロウイルスは、低温にも乾燥にも強い。手に付いたウイルスはそのまま生き延びて、触れたものすべてに付着。それに触れた人に感染する。さらに嘔吐物の始末が不十分だと乾燥して微粒子になり、空中を浮遊して感染することもあると言われている。こうなると、呼吸しても感染する危険があるのだ。「アルコール殺菌もノロウイルスには効果が低く、石けんでよく洗うしか感染を防ぐ方法がないのです」と味沢先生。
しかし、感染しても症状が出る人は7割強ぐらい。体調なども関係し全員発病するわけではない。また、症状が出ても苦しいのは2~3日だそうだ。「嘔吐や吐き気が出るのは最初の半日くらい。その後、と下痢が起こり、2~3日で治まるのが普通」。寝たきりの高齢者などでは嘔吐物がのどにつかえて窒息したり、誤嚥(ごえん)性の肺炎を起こして命取りになることもあるが、普通は下痢や吐き気で終わることが多いそうだ。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆嘔吐物などの処理 手袋にマスク、ゴーグルを装着して汚物をふき取り、あとを薄めた塩素系の消毒剤や漂白剤で広めによくふく。使ったぞうきんなどはビニール袋に密封して捨てる。汚れた衣類も別に洗って塩素系消毒剤などで消毒する。洗濯した場所を消毒することも忘れずに。
February 3, 2007 10:13 AM
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