健康連載ブログ

2006年12月25日

こちら消化器科です

【第17回】脱水進むとショック死も

急性膵炎(4)

 急性膵炎(すいえん)の痛みは、強くなったり弱くなったりではなく、休みなく次第に強くなるのが特徴だ。

 国立病院機構仙台医療センター外科医長の武田和憲先生によると「発症から数時間後には、みぞおちからヘソにかけての激しい痛みになり、吐き気や嘔吐(おうと)を訴えるようになります」という。軽症ならば、このくらいで症状はとどまることが多い。だが、いったん炎症が広がって重症化すると、全身のむくみ、血圧の低下、脈拍が速くなるなど、転がるように症状が悪化し、呼吸困難に陥る人も出てくる。「膵臓だけでなく、全身に障害が及ぶ」からだ。

 膵臓の炎症で、なぜ全身に障害が起こるのか。発症から6~12時間たつと、重要な臓器に白血球が集まってくる。このとき、血管の外に白血球が出ようとして血管の壁を壊す。ここから水分やタンパクなどが漏れて、全身にむくみを起こすのだ。「特に肺に白血球が集まりやすいので、肺が水浸しになり呼吸困難が起こる」という。

 このころに病院に来る人は、痛みで腰を曲げてハーハー息を切らせ、心臓をバクバクいわせながら来る人が多い。心臓がバクバクするのは、脱水で血液が不足するので、心臓がそれを補おうと必死に働いているからだ。しかし、このまま放置すれば、血液から水分がどんどん抜けて脱水が進み、ショック状態から死に至ることもある。

 さらに、膵臓が腐って壊死(えし)を起こしてくると、破壊された組織から血液を固める物質が放出されて、血液凝固に働く因子がどんどん消費されていく。その結果、血液が固まりにくくなって、全身の重要な臓器が次々と障害されていくのだそうだ。これが、重症の急性膵炎がたどる道。こうなると集中治療室で治療が必要になる。それでも20年前には重症患者の3割が亡くなっていた。医療が進歩したおかげで重症膵炎でも、今は死亡率が1割足らずになっているが、重症になれば命の危険が出てくることは変わらない。だからこそ、急性膵炎は初期治療が大事、軽い段階で食い止めることが重要なのだ。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆治療費 重症になると、状態に応じて透析や人工呼吸器など、さまざまな治療が一気に行われるので、治療費も高額。2000万円を超すこともある。ただし、重症の急性膵炎は特定疾患に指定されているので、患者負担は免除される。

December 25, 2006 09:08 AM

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