健康連載ブログ

2006年12月24日

こちら消化器科です

【第16回】「飲まなければ安心」ではない

急性膵炎(3)

 急性膵炎(すいえん)の半分は、アルコールが原因で起こる。しかし、アルコールを飲まなければ安心かといえば、そうではないのである。国立病院機構仙台医療センター外科医長の武田和憲先生によると「アルコールの次に多いのが胆石で、急性膵炎の20~30%は胆石から起こる」のだそうだ。胆石からなぜ、膵炎になるのだろうか。実は膵臓は胆汁の通り道になっているのだ。

 胆汁は、肝臓で作られ、胆嚢(のう)に蓄積されて凝縮されたあと、胆管に入る。この胆管は膵臓に入って膵液の通り道である膵管と合流して、十二指腸に排出される。つまり、膵液も胆汁も出口は同じなのである。武田先生によると「普段は膵管の方が圧力が高いので、胆汁が胆管から膵管に逆流することはない」のだそうだ。

 ところが、胆嚢にできた胆石が胆管に落ちてくることがある。胆汁は脂肪の消化が仕事。脂肪分の多い食事をすると、胆嚢がギュッと縮んで胆汁を排出する。その拍子に胆石まで押し出され、これが十二指腸の出口に引っ掛かってしまうことがあるのだ。すると、胆管の出口が詰まって胆管の圧力が高まり、膵管の方に胆汁が逆流してしまう。これが、問題なのである。膵管の内側は、リン脂質という脂肪で覆われている。これが胆汁で消化されてしまうのだ。

 「膵管はボロボロになって、虫食いのように管にすき間ができ、そこから膵液が膵臓の中に漏れていく」のである。こうなると、アルコールと同じ仕組みで漏れた膵液が引き金になり、膵液が活性化。タンパクの消化という仕事を始める。「胆石の人は細菌感染を起こしていることも多いのですが、この細菌が持つ酵素でも膵液が活性化される」のだそうだ。

 かくして膵液は膵臓の消化を始め、急性膵炎が起こる。この場合は、胆石と膵炎と両方から激痛が来ることになる。治療も、両方必要だ。最近は、脂肪のとり方が多くなって、コレステロール胆石が増えている。女性の方がやや多いのも特徴だ。急性膵炎を起こす人には、高脂血症の人も多い。飲み過ぎ、食べ過ぎ、ともに急性膵炎の危険因子なのである。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆腹痛 急性膵炎の場合はみぞおちからヘソにかけての鈍痛から始まるが、胆石の場合は右の脇腹が痛む。胆石と急性膵炎が重なると真ん中まで痛む。また、胃腸に穴があくと、突然跳び上がるほどの激しい痛みに襲われる。

December 24, 2006 09:50 AM

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