健康連載ブログ

2006年12月23日

こちら消化器科です

【第15回】重症化になると他の臓器も

急性膵炎(2)

 急性膵炎(すいえん)は、突然に発症して、ひどい場合は全身の臓器が働かなくなって死に至ることもある。その最大の原因が、アルコールだ。

 アルコールが、なぜ膵臓を壊すのか。国立病院機構仙台医療センター外科医長の武田和憲先生によると、アルコールは胃液の分泌を高めて食欲を増進する働きがあるが、同時に膵液の分泌も高めるのだそうだ。その一方で、膵液の出口を閉める作用もある。

 「膵臓の出口には、オッジ筋という括約筋があり、膵液と胆嚢(たんのう)からきた胆汁が混じらないで交互に出るように調整しています。ところが、アルコールはオッジ筋を痙攣(けいれん)させて出口を収縮させる」のだそうだ。その結果、膵液はどんどん出るのに、出口が閉まっているので、膵管がパンパンに腫れ上がってくる。やがて上流の細い管が破裂し、周囲に膵液が漏れだしてくる。こうして漏れた膵液は、膵臓の細胞の中にある消化酵素を活性化してしまう。すると、これをきっかけに膵液に含まれる消化酵素が次々と活性化され、タンパクの消化が始まる。つまり、膵臓自体の消化を始めてしまうのである。これが、急性膵炎の始まりである。

 それでも、膵臓はわが身を守る術を持っている。武田先生によると「活性化された消化酵素の量が少なければ、膵臓自身が抑制因子を出して、懸命に消化酵素の活性化を抑える」のだそうだ。つまり、膵臓は炎症をボヤで消し止めようと頑張る。ところが、この火消し役は消化酵素に取り付いて火消しをするので、あまりに多くの消化酵素が活性化すると、手に負えなくなる。その結果、どんどん消化酵素の活性化が進んで、炎症が広がっていく。こうして本当の急性膵炎が発症するのだ。

 「アルコールを飲み終わってから、だいたい6~12時間でみぞおちの痛みや吐き気など膵炎の症状が出てきます。ですから、夜飲むと、夜中から明け方に症状が出るのです」。軽症ならば、こうしたみぞおちの痛みだけで済むことも多く、「2~3日絶食をすれば良くなってくる」そうだ。しかし、いったん重症化すると障害は膵臓にとどまらず、重要な臓器が侵され、命にもかかわってくる。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆急性膵炎の発症率 アルコールの消費量はここ20年ほどの間に3倍ぐらいに増加しており、それに比例して急性膵炎も増加。88年から98年までの10年間で1・3倍になっている。年間2万人が発症するといわれている。慢性膵炎が急に悪くなって起こることも。

December 23, 2006 11:35 AM

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