健康連載ブログ

2006年12月21日

こちら消化器科です

【第13回】胸焼け我慢することない

非びらん性胃食道逆流症(3)

 これまで治療は異常があるから行われるものだった。ところが、異常があってもなくても、本人がつらくて日常生活にも支障があるなら、とにかく治療をしようではないか、というのが最近の医療の流れ。胸焼けの場合も、食道に異常がなくても本人がつらいのであれば、まず酸の分泌を抑える薬(PPI)を飲む。島根大学医学部消化器内科の木下芳一教授によると、「逆流性食道炎は9割は胃酸の分泌を抑える薬で治りますが、非びらん性の胃食道逆流症の場合は、胸焼けが治るのは6割程度」だそうだ。

 酸分泌抑制剤を飲んでも胸焼けが治まらなかったときに初めて詳しい検査をする。「内視鏡検査も全く安全というわけではないので、全員に行うより、まず薬で反応をみて、治らない人を対象に行った方が効率的」だからだ。それで、食道に傷がなければ、さらに詳しく胸焼けが治らない原因を調べる。

 薬が効いていないケースもある。そこで、鼻から食道に管を入れて酸分泌が抑えられているかどうかを調べる。不十分ならば薬を増やしたり、種類を変えてみる。薬の飲み方も問題だ。酸分泌抑制剤は、腸で吸収され、血液にのって胃壁の中に入り、ここで酸にさらされて初めて活性化される。酸の分泌を抑える働きをするのだ。だから、胃袋が働いて酸を活発に分泌していないと、活性化されないので、効かない。「食事直後に飲む人がほとんどですが、就寝前に飲むと、夜は酸の分泌が少ないので効かないのですよ」。

 胃酸の異常な逆流が原因ではない場合は、鼻に入れたチューブから酸を流してみる。「1分間に5CCずつ流すと、5分ぐらいで胸焼けを訴えるのが普通。もし、1分で胸焼けがするといえば、酸に対する感受性が高いということです」。この場合は、胃酸の逆流をもっと強く抑える必要がある。食道に入れた風船を膨らませて胸焼けを感じるのであれば、感受性を落とす薬なども使う。

 「これまで、胸焼けは自分の不摂生のせいと思っている人が多かったのですが、日常生活にも支障があるようなら、まず病院で酸分泌を抑える薬をもらってください。それでだめならば専門家を受診する。我慢することはないのです」と木下先生は語っている。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆ジェネリック医薬品 開発した製薬会社の特許期限が切れて、他社でもつくられるようになった薬。安価なのが長所だが、高度な技術を駆使した薬の場合、同じ効果を再現できない場合もある。PPIの場合もジェネリックのものは、開発会社のものに比べて効果にばらつきがあるという報告もある。

December 21, 2006 08:10 AM

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