2006年12月20日
こちら消化器科です
【第12回】まず胃酸抑える薬を飲む
非びらん性胃食道逆流症(2)
食道に何の異常もないのに、胸焼けがするのが、非びらん性の胃食道逆流症だ。島根大学医学部消化器内科の木下芳一教授によると「胸焼けを訴える人の6~7割は実際には食道に傷がない」のだそうだ。傷がない人の方が多いのである。では、食道に炎症によるただれもかいようもないのに、なぜ胸焼けを感じるのだろうか。
1つは感受性の問題がある。胃酸の逆流は胃と食道の境で逆流を防いでいる筋肉が衰えることで起こる。このとき、食道の上の方の筋肉も弱って、逆流した胃酸を押し戻す力も弱くなるのだそうだ。そのため、逆流した胃酸は、のどの上の方まで上がりやすい。
ところが、食道は胃から遠くなるほど、つまり上に行くほど胃酸に慣れていないので違和感が大きくなる。「口の中に酸をポトッと落とすとすごく違和感がありますが、食道の下の方に落とすとあまり違和感がないのです」と木下先生。つまり、胃酸が食道の上まで逆流すると、食道が傷つくほどではなくても、違和感が大きい。つまり、敏感な部分に胃酸がくるから胸焼けを感じるのである。
さらに、非びらん性胃食道逆流症の場合、胃酸の逆流があるのは6~7割。胸焼けは、必ずしも胃酸の逆流が原因というわけではないのだ。「食道に風船を入れて膨らませても、胸焼けを感じる人はいる」のだそうだ。つまり食道の壁が伸びると胸焼けを感じる。
おまんじゅうを食べて胸焼けがするのは、砂糖が胃液に溶けて浸透圧が高まるから。胃液の浸透圧が高まっても、食道には刺激になる。「食道に浸透圧を高めた胃液を塗って放置すると、やがて傷ができる」のだそうだ。傷ができるほどではなくても、胸焼けを起こす。「同じ理由で、カレーや唐辛子、マーボー豆腐などの刺激物を食べても、胃の中に残ったものが、少しでも逆流すると胸焼けを感じる」のだそうだ。
こういう場合、原因を調べるより、まず胃酸を抑える薬を飲む。それで胸焼けが治らなければ、専門家が詳しい検査をして、それぞれにあった治療をするというのが、今のやり方だそうだ。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆非びらん性胃食道逆流症 週に2日以上、胸焼けなどの症状があって、日常生活に支障がある。内視鏡検査をしても、食道にびらんやかいようが発見できないというのが、その定義。
December 20, 2006 03:17 PM
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