健康連載ブログ

2006年12月19日

こちら消化器科です

【第11回】傷なくても保険治療可能

非びらん性胃食道逆流症(1)

 ひどく胸焼けがするのに、内視鏡で食道をみても異常がない。制酸剤(胃酸を中和する薬)を飲んでも、胸焼けが治まらないことも少なくない。これが今、「見えない現代病」といわれている非びらん性胃食道逆流症だ。

 逆流性食道炎の場合は、胃酸で食道に炎症が起こり、食道にただれやかいようができている。だから異常がすぐに分かる。ところが、非びらん性胃食道逆流症の場合、文字通り食道を内視鏡で見ても異常が見えないのである。

 島根大学医学部消化器内科の木下芳一教授によると「昔から、胸焼けの人には、食道にただれやかいようなど傷ができている人と、特に異常がない人がいることが分かっていた」のだそうだ。異常がなければ、本人の訴え以外に病気を証明するものがない。しかも、逆流性食道炎ならば、少ないとはいえ3%ぐらいの人は、食道に穴があいたり出血を起こす。食道がんになる可能性も全くないわけではない。そこで保険で治療が行われてきた。

 ところが、非びらん性胃食道逆流症の場合は、食道に傷がないから病気の証明もないし、合併症の危険もない。というわけで、本人がいくら苦しかろうと、保険治療が行われてこなかったのである。「患者さんの方も、暴飲暴食や甘いものの食べ過ぎなど、胸焼けは自分の不摂生が原因だから、我慢するという意識が強かったのです」と木下先生は語る。

 ところが、最近調査を行ったところ、食道に傷があってもなくても、胸焼けの強さや頻度には差がないこと、また仕事の能率が落ちたり、休むなど胸焼けによって生活の質が落ちることはどちらも同じという結果が出た。食道に傷があろうがなかろうが、生活の質が落ちて社会的な損失も大きいことが明らかになったのである。そこで、今年の夏から非びらん性の胃食道逆流症も保険で治療ができるようになった。

 「たびたび胸焼けがあると、一般の人はまず食道がんを心配して病院を受診します。それで異常がないとうれしい半面、結局、胸焼けの原因は分からないので病院を転々とするようになるのです。これではいけないと、保険治療が行われるようになったのです」。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆食道がんと胸焼け 胸焼けから食道がんが見つかる人は多くはない。食道がんの危険因子は酒とたばこ。また、舌や咽頭(いんとう)など耳鼻咽喉科系のがんは、食道がんと同じ扁平(へんぺい)上皮から発生するので、こうしたがんになった人は食道がんにも注意が必要。こうしたリスクがなければ胸焼けが起きても心配は少ない。

December 19, 2006 10:15 AM

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