健康連載ブログ

2006年12月18日

こちら消化器科です

【番外編】おもちが詰まるだけじゃない、肺炎も

<嚥下障害>

 正月になると、決まっておもちをのどに詰まらせて窒息したというニュースが流れる。その大きな原因が嚥下(えんか)障害。簡単にいえば、飲み込みの障害だ。

 嚥下障害は、脳卒中の後遺症やマヒなど、病気が原因で起こると思っている人が多い。しかし、高齢になると飲み込みの機能も自然に低下してくる。お正月におもちをのどに詰まらせるのも、若いころの感覚で飲み込めると思ったのに、実際には飲み込めなかったから。日本では年間8400人くらいが窒息死しているが、その8割は65歳以上の高齢者だと報告されている。

 もともと、物を飲み込むためには、かなり複雑な動きが組み合わされている。鼻から肺につながる気管支と口から胃につながる食道は、のどのところで前後に交差している。そこで、飲み込む時には、食道が開いて気管支が半分くらいふさがって、食べ物や飲み物は食道に送り込まれる仕組みになっている。ところが、年を取るとこうした動きも衰え、誤嚥を起こしやすくなるのだ。奥歯が抜けただけでも、飲み込みの機能は低下するといわれるくらいだ。

 特に怖いのは誤嚥性肺炎。口の中にはさまざまな細菌がいる。食べ物や唾液(だえき)が間違って気管支の方に入ると、一緒に口の中の細菌も肺に入り、誤嚥性肺炎を起こす。高齢者にとって、肺炎は命取りにもなる。70歳以上の高齢者の肺炎は、6割が誤嚥と関係しているといわれている。

 しかも、食べづらくなると、栄養状態も悪くなり、いざというときの体力も低下する。高齢化時代を迎えた今、嚥下障害は身近な危険ともいえるのだ。

 元気そうでも、お年寄りがキャベツの千切りなどバサバサしたものを嫌がったり、水やお茶などサラサラした飲み物が苦手になったら要注意。嚥下機能が低下している可能性がある。食事中にむせたり、せき込むようならまだいいが、嚥性肺炎を繰り返すような人はそういう力も衰えていることが多いのだ。

 最近は嚥下障害のリハビリや食べやすい調理の工夫などを指導する病院も増えているので、相談してみるとよい。それで、嚥下能力も若いころと同じとまではいかないまでも、随分良くなるそうだ。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆のどぼとけ ゴクンとものを飲み込む時にはのどぼとけ、つまり喉頭(こうとう)が上下する。これは、のどぼとけが上に上がることで、食道が引っ張られて開くため。同時に喉頭蓋(がい)という突起物が倒れ込んで気道にフタをする。

December 18, 2006 10:26 AM

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