2006年12月16日
こちら消化器科です
【第9回】胸痛、のどの違和感なども
逆流性食道炎(3)
胸焼けがしたり、酸っぱいゲップが出ると、胃酸が逆流しているなと分かる。ところが、胃酸の逆流が原因でこうした症状とは全く関係のない症状も現れることが分かってきた。
男性のAさん(56)の場合、庭の模様替えをしようと、休みの日に庭石を持ち上げた途端、激しい胸痛に襲われた。胸痛といえば、心臓発作がまず頭に浮かぶ。直ちに救急車が手配され、循環器の専門病院に運ばれた。ところが、心臓には異常なし。では、あの胸の痛みは何だったのか。Aさんは東北大学病院総合診療部の本郷道夫先生のもとに送られた。そこで、鼻からチューブを入れて食道に酸を流す検査を行うと、Aさんは胸痛を訴えた。これで、Aさんの胸痛は逆流性食道炎が原因と判明したのである。
「庭石を持ち上げようと、前傾姿勢になって腹に力を入れたんですね。そのために胃が圧迫されて胃酸が食道に逆流し、胸痛を起こしたのです」と本郷先生は説明している。つまり、姿勢の問題だったのである。食道も心臓も、同じ迷走神経の支配を受けているので、痛みがひどくなると心臓なのか食道なのか、区別がつかなくなるのだそうだ。
ほかにも、のどの違和感や耳の痛み、ぜんそくなどいろいろな症状との関係が指摘されている。例えば、のどがイガイガすると、ついせき払いをするようになる。その結果、のどに力が入ってポリープができることがある。「耳鼻科の先生たちは、このタイプのポリープは何度手術でとっても再発するので手を焼いていたようです。ところが、酸分泌を抑える薬を飲んでもらうと、2~3カ月でポリープが消えるのです」。
クリントン元大統領のしゃがれ声も胃酸の逆流が原因といわれているそうだ。本郷先生によると、実際に胃酸がのどまで逆流しているかどうかは分からないという。ただ、酸が途中まで上がってきただけでも、のどの違和感として感じ、せき払いをしてしまうのではないか、と考えられている。
このように意外な症状の裏に逆流症が潜んでいることがある。もし、本当に逆流症が原因ならば、胃酸の分泌を抑える薬で不快な症状もとれる。疑わしければ、検査を受けたい。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆ぜんそくと食道炎 ぜんそくの人にも逆流性食道炎が多いといわれている。食道に逆流した胃酸が肺に吸い込まれてむせるという説と、せきで腹圧がかかるために胃酸が逆流するという説があり、どちらが正しいかは不明。しかし、食道炎を治すと、ぜんそくも良くなることが多いそうだ。
December 16, 2006 08:59 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/8226
