健康連載ブログ

2006年12月14日

こちら消化器科です

【第7回】老化で噴門の筋肉緩み胸焼け

逆流性食道炎(1)

 飲み過ぎ、食べ過ぎで起こりやすいのが、胸焼け。宴会の翌日、酸っぱいゲップが出たり、胸がチリチリ焼けるような感じがしてつらい思いをした人も多いはずだ。

 胸焼けは、胃酸が逆流して起こる逆流性食道炎の典型的な症状。東北大学病院総合診療部部長の本郷道夫先生によると、胃と食道の間には、胃の内容物の逆流を防ぐために「噴門」というバルブ(下部食道括約筋)があるのだそうだ。このバルブが緩んで胃酸が逆流すると、食道の粘膜が酸で刺激されて胸焼けが起こる。食道の粘膜は、胃の粘膜ほど酸に強くないのだ。

 といっても、健康な人でも多少は胃酸の逆流が起きている。例えば、食後のゲップ。食べ過ぎや大量の空気が入って胃の内圧が過剰に高まると、バルブが安全弁のように開いて圧を逃す。食後のゲップは、空気を逃がして胃の内圧の過剰な上昇を防いでいるのである。このとき、空気と一緒に胃酸が上がってくれば、胸焼けが起こる。食べ過ぎ、飲み過ぎで胸焼けがするのは、そのせいでもある。

 では、しょっちゅう胸焼けがしてつらい人はどうなっているのか。本郷先生によると「噴門が緩みやすくなっている」という。その大きな原因が老化現象。年を取ると、バルブを締める筋肉も衰えて緩みやすくなる。実際に、逆流性食道炎は40歳以降に増えて60~70代でピークになる。

 さらに、肥満は腹回りについた脂肪が胃を圧迫するし、女性の場合は骨粗しょう症で腰が曲がるとやはり胃が圧迫されて胃酸の逆流が起こりやすくなる。よって、胃酸の逆流は中高年の肥満男性と高齢の女性に多い。高齢になると裂孔(れっこう)ヘルニアでバルブが緩む人も増える。

 こういう原因が重なって病的な胃酸の逆流が続くと、やがて食道に炎症が起きて、ただれ、逆流性食道炎になる。これが今、日本でもじわじわと増えている。「30年ぐらい前には内視鏡で検査をしても逆流性食道炎が見つかる人は3%ぐらいでした。それが、最近では10~15%に見つかります」と本郷先生。内視鏡の性能が良くなったことも一因だが、明らかに逆流性食道炎が増えているのだ。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆裂孔ヘルニア 胃と食道の境目にある噴門が上の方に移動した状態で、胃の一部が横隔膜の付け根より上に突出した状態になる。この場合もバルブを締め付ける力が低下するため、胃の内容物が逆流しやすくなる。

December 14, 2006 08:57 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/8187