健康連載ブログ

2006年12月12日

こちら消化器科です

【第5回】空腹感は重要な指令

急性胃粘膜病変(5)

 「食事は1日3回、規則正しく」というのは、胃腸だけではなく、健康の基本。といっても、実際には暮れともなると忙しくて食事の時間も満足にとれない人もいる。女性はダイエットで空腹をこらえてしまう人も多いはずだ。

 しかし、それが胃の痛みやむかつき、吐き気など急性胃粘膜病変の原因にもなっているのである。東京女子医大成人医学センター所長の前田淳教授によると、空腹感というのは「食事をとってください」という脳からの指令だという。ここで、重要な働きをしているのが胃酸なのだ。胃の中が空っぽになると、胃酸の分泌が活発になって胃壁を刺激する。この刺激が脳に伝えられて食欲中枢を刺激し、空腹感が生み出される。

 ここで、要求通りに食事をすれば、胃酸は食べ物によって中和され、消化された食べ物と一緒に腸に送り出されていく。それと同時に胃酸の分泌も低下していく。ところが、ここで空腹を我慢すると胃酸がどんどん分泌されて胃の中にたまってくる。この胃酸が過度に胃を刺激して痛みやむかつき、吐き気などの原因になる。特に寝ている間は胃腸の運動も低下して胃酸が胃の中にたまるため、朝の空腹時にもたれやむかつきの原因になりやすい。

 実際に「内視鏡の検査をする時には、朝食を抜いてきてもらうのですが、この時、内視鏡でみると、胃酸が活発に分泌されていたのが分かる」という。内視鏡でたまった胃酸を吸引するとたいていの人が、スッキリしたと言うそうだ。

 したがって、急性胃粘膜病変から胃を守るためには、規則正しい食事をして、暴飲暴食を慎む。消炎鎮痛剤やアルコールなど、胃を荒らしやすいものは、すきっ腹に飲まない。夜中の歯痛や生理痛で消炎鎮痛剤を服用する時にも、牛乳や菓子パンなど何かを胃に入れて服用すると随分違うそうだ。消炎鎮痛剤で胃を痛めやすい人は胃薬を一緒に飲むのもいい方法。

 そして、前田先生が胃の調子が悪い人にぜひ注意してほしいというのが便の色。「便の色が真っ黒でノリのつくだ煮のような色をしていたら、胃腸からの出血の兆候です。直ちに病院を受診してください」。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆ストレスと胃痛 ストレスで胃が痛くなるのは、血管がストレスで収縮し、胃の防御能力が低下する一方、胃酸の分泌が高まるから。昔は、やけどや手術によるストレスで胃かいようが発生することが知られていたが、精神的ストレスでも同じことが起こる。

December 12, 2006 10:54 AM

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