健康連載ブログ

2006年12月10日

こちら消化器科です

【第3回】胃を荒らす非ステロイド系

急性胃粘膜病変(3)

 歯痛や頭痛で痛み止めを飲んだら、胃をやられたという人は多いはず。胃壁に急性のただれ、かいよう、出血などを起こす急性胃粘膜病変の原因で、一番多いのは薬、中でも非ステロイド系の消炎鎮痛剤なのだ。

 東京女子医大成人医学センター所長の前田淳教授が、急性胃粘膜病変と診断された患者630人の原因を調べたところ、「薬が4割近くを占め、その中でも非ステロイド系の消炎鎮痛剤が7割近くを占めていた」そうだ。非ステロイド系の消炎鎮痛剤というのは、病院でも薬局でもごく普通に使われている痛み止め。冬場になると、風邪薬で胃を痛める人が多いのも、風邪薬に含まれる消炎鎮痛剤が原因であることが多い。

 慢性関節リウマチや関節炎などで、長期に痛み止めを飲まなくてはならない人は、一層深刻な事態を招くこともある。前田先生によると、「アメリカでは慢性関節リウマチで長期に痛み止めを服用している人には、胃や腸に穴があいたり、出血で亡くなる人がかなりいると報告されている」という。

 もちろん、日本人とは服用量も違うし、日本のように頻回に胃の内視鏡検査が行われないなど、事情はかなり異なる。しかし、日本でも3カ月以上、消炎鎮痛剤を服用しているリウマチ患者を調べたところ、15%以上に活動性の胃かいよう(今現在、炎症が起きているかいよう)が見つかったという報告もある。それほど消炎鎮痛剤は胃を荒らす危険が大きいのだ。

 なぜか。胃壁が障害される最大の理由は、胃壁を守る防御因子と胃壁を攻撃する攻撃因子のアンバランスにある。胃酸はステーキも溶かす強い酸で空腹時には胃の中はPH(ペーハー)1~2という強酸性になる。胃壁もステーキと同じタンパク質なのに、胃酸で消化されないのは、胃粘膜がゼリー状の粘液で覆われ、さらに常に新鮮な血液が供給されることで粘膜の防御機構が維持されているからだ。この粘液や血液という防御因子と胃酸という攻撃因子のバランスの上に、健康な胃は保たれている。

 ところが、何かの原因で胃壁の防御機構が低下したり、胃酸の攻撃力が増すと、胃壁が酸で障害されて急性胃粘膜病変が起こる。非ステロイド系消炎鎮痛剤も、このバランスを崩して胃を荒らすのである。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆胃を荒らす薬 前田先生の調査では、急性胃粘膜病変を起こすトップが薬で、2位がストレス、3位がアルコール。薬では、圧倒的に非ステロイド系消炎鎮痛剤が多いが、ほかに抗生物質、ステロイドホルモン剤、抗がん剤、アスピリンなども胃を荒らすことがある。

December 10, 2006 10:10 AM

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