2006年12月09日
こちら消化器科です
【第2回】吐くまで飲まないのが鉄則
急性胃粘膜病変(2)
忘年会や新年会のシーズンになると、必ずといっていいほど道端で苦しそうに嘔吐(おうと)している人を見掛ける。東京女子医大成人医学センター所長の前田淳教授によると、この時「一緒に血を吐いたと、びっくりして病院に駆け込んでくる人も多い」そうだ。飲み過ぎは、胃の粘膜にただれやかいようをつくって急性の胃粘膜病変を起こす。それと同時に気を付けなくてはならないのが「マロリーワイス症候群」だ。
吐き気を催した時には、胃の中のものがグーッとこみ上げてくるような感覚があるもの。実はこの時「本当に胃が食道の中までグワッとせり上がって入り込み、嘔吐が起こるのです。嘔吐が治まると、胃袋もヒュッと食道から落ちていきます」と前田先生。この時、食道と胃のつなぎ目が激しく引っ張られるため、タテに裂け目ができることがある。この裂け目から出血するのが、マロリーワイス症候群だ。
「傷口自体は5ミリから12ミリほどの小さなもので、嘔吐が治まれば普通は治るものです。でも、中には出血が止まらず手術が必要になる人もいる」そうだ。アルコールは、吐くまで飲まないのが鉄則だ。では、急性胃粘膜病変を起こさないで、食欲増進というアルコールのメリットを生かすには、どの程度の酒量がいいのだろうか。
動物実験では、アルコールは濃度が高いほど胃粘膜の障害を起こしやすいことが分かっている。しかし、だからといって水割りなど薄いアルコールならば、いくら飲んでも大丈夫というわけではない。大事なのは、アルコールの総量なのだ。一般的には、適量のアルコールは1日に日本酒ならば1~2合、水割りなら1~2杯、ビールなら1~2本とされている。少量のアルコールは、むしろ胃の防御機構を高め、血圧の低下、善玉コレステロールの増加にも役立つといわれている。
そして、胃酸による胃壁への攻撃を抑えるという意味では何か胃壁にクッションがあった方がよい。それがつまみ。「牛乳1杯でも胃壁のバリア機能は高まり、胃酸の分泌も抑えられる」。ちなみに、ニンニクやトウガラシなど食欲を増進させる香辛料も胃酸の分泌を高めて食欲を刺激するので、取り過ぎると胃を荒らすこともあるので注意したい。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆たばこ たばこは胃の粘膜を直接刺激するだけではなく、血管を収縮させて胃壁の血流量を著しく低下させる。そのため、胃の防御機構が低下し、かいようなどになりやすくなり、また治りにくくなる。
December 9, 2006 10:27 AM
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