健康連載ブログ

2006年12月07日

予防歯科最新情報

【第59回】今すぐに食後の歯ブラシ励行/最終回

 「虫歯は早く削って詰めるしかない」「年を取ったら歯が抜けて入れ歯になるのは仕方のないこと」。こんな考えを持っていませんか? もしそうなら、時代遅れ。初期虫歯は、きちんと管理することで回復したり、現状を維持できることが多い。歯は削らなければ、長持ちするし、そう簡単に入れ歯にはならない。

 「虫歯も歯周病も口腔(こうくう)内に常にいる細菌が、その人の生活習慣に関連して引き起こす慢性的な感染症です。慢性疾患だからコントロールできます」と説明するのは、国立保健医療科学院口腔保健部の歯科医師花田信弘氏だ。虫歯が管理可能な感染症であることに気付かなかった時代、多くの歯科医が削って詰める治療を行ったのは、残念な事実だ。その結果、中高年以上の人の中には壊滅的な歯の状況を抱えている人が少なくない。

 でも気付いた時からで遅いことはない。歯をむやみに削らず、感染症である虫歯が進行しないように定期管理してくれる歯科医を見つけ、メンテナンスをスタートしよう。研究が進んだ今、歯科医療も内科でコレステロール値や血圧などをコントロールするのと同様になった。口の中のリスクを検査し、清掃や除菌を行って予防管理する時代に入っている。

 「高齢化社会で、健康の質にこだわる傾向は今後も強まるでしょう。そしておいしく食べることは、健康の基本です。健康づくりの一環としての歯科医療を考えていく必要があります」と花田氏は強調する。歯の状態が整うと、食べ物がよくかめる、かめれば胃腸への負担が少なく全身状態が良くなる。また、歯が整っていると、体のバランスも安定し運動機能がアップする。かむことはそのまま脳への刺激となるので痴呆の防止とも関係するし、口や歯の状態がよければ話もしやすい。楽しいおしゃべりは、心の健康につながる。

 「配偶者の死と入れ歯の装着の2つは、ともに人に強いストレスを与えるという結果が出ています」と花田氏は指摘する。歯を喪失することは、動物的にみれば命を縮めることに匹敵するリスクだ。年を取っても、自分の歯で食べ続けるために、今すぐにできることがある。「ごちそうさま」の後、すぐにはしを歯ブラシに持ち替えよう!(おわり)

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆感染症 寄生虫、細菌、真菌などの病原性微生物や、ウイルス等の病原体が体内に侵入し感染して増殖し発症する病気の総称。感染していても全く症状が出ない場合もある。

December 7, 2006 08:31 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/8106