健康連載ブログ

2006年12月05日

予防歯科最新情報

【第57回】将来は歯科衛生士が主役に

 一生懸命歯を磨いても虫歯になる人がいる。一方で、ほとんど歯磨きをしなくても歯医者に行ったことがない人もいる。歯は丈夫なのに歯周病になってしまう人もいる。口腔(こうくう)内には、さまざまな常在菌がおり、虫歯や歯周病になるかどうかは、原因となる菌がどのくらいいて、活動しているかによって決まるためだ。菌の多い人はリスクが高く、定期的な検診、プロの清掃や家庭での丁寧な歯磨きが必要だ。

 菌が少ない人の場合、リスクは低いが、生活習慣や病気、加齢などによって口の中の環境が変化すれば、菌が活動し始めることもある。口腔内の菌を科学的に検査し、定期的な検診で口の環境を整え、長期的に歯を守るための提案をしてくれること。これが歯科医に私たちが求めたい仕事だ。

 「削って詰める治療しか方法がなかった時代もあった。当時、治療法を真剣に追求していた歯科医ほど、自分の行う治療に疑問を感じていた。なぜ一生懸命治しているはずなのに再発を繰り返し、歯がどんどん壊れていくのか。そういった医師が予防に出合った時、それは従来の職業観を180度変えるほどの変化だった」と口腔ケア用品メーカー、オーラルケアの社長で歯科医療コンサルタントの大竹喜一氏は解説する。

 予防の意味と効果を理解した多くの医師が、チーム医療を取り入れ、質の高い歯科衛生士と組んで仕事をする道を選んだ。実際に予防歯科の先進国スウェーデンでは、歯科衛生士が歯のクリーニングの技術を提供するだけでなく、歯周病の治療や口腔内の環境を整える専門知識を提供するプロとして歯科医療の中心的な役割を担っている。

 「お口の健康を通して、全身の健康を支援できる歯科衛生士を育てたい」と話すのは、デンタルスタッフ協会TSUBASAの代表で歯科衛生士の田中法子さんだ。田中さんはスキルアップを目指す歯科衛生士を対象にした養成講座を主催している。口腔内の検査のノウハウや全身疾患と口腔内の関連性などさまざまなテーマとともに、患者とのコミュニケーション能力の向上なども目指し、後進の育成に力を注いでいる。

 「今は、歯科医療が治療型から予防型に転換していく過渡期にある。今後の歯科医療は歯科衛生士が主役です」と大竹氏は断言する。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆常在菌 口の中にいつも生息しているさまざまな菌。生後すぐに定着を開始し、体の成長や歯が生えることなど、口腔内環境の変化に伴って変動する。

December 5, 2006 12:47 PM

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