健康連載ブログ

2006年12月02日

予防歯科最新情報

【第54回】発見は早く、治療は遅く

 「虫歯は早くきちんと見つけていれば、治療はほとんど不要です。歯科医が治る程度の初期虫歯を見つけて管理できないことが問題です」と話すのは杉並保健所に勤務する岡田弥生医師。区内5カ所の保健センターで子どもたちの歯科健診を担当している。

 岡田医師はODH草の根歯科研究会の代表でもある。歯科医師や歯科衛生士などの専門家と、患者が一緒に勉強できるこの会は、かむこと、食べること、生きることをテーマにしている。講演会「歯科患者塾」や「歯科勉強会」「歯医者さん探検隊」などを行い予防の大切さを訴えている。

 例えば、子どもの初期虫歯を発見した時、医療者が、歯磨きの仕方などをアドバイスした上で定期的な管理をすることで、母親は「虫歯はきちんと管理すれば再石灰化する」と理解し、自信を持つことができるようになる。再石灰化とは唾液(だえき)中にあるリンやカルシウムが歯につくことでエナメル質を復元する作用だ。

 「エナメル質にできた初期虫歯は自浄作用によって治ります」。歯を構成しているカルシウムやリンが、食べかすから出る酸によって溶けて初めて虫歯が起こるのだが、一番表面のエナメル質は実は脱灰と再石灰化、つまり溶けたり治ったりが常に起こっている。だから、もしエナメル質に虫歯ができても、プロによる清掃や毎日の歯磨きなど徹底した管理をすると治っていく。

 一方、虫歯が象牙質にまでいってしまった場合、その部分を削ることはできても歯は2度と再生しない。つまり虫歯は初期に止める以外には、手だてのない厄介な感染症なのだ。その上、1回削って詰めた歯は、数年後にはまた再発し、もっと大きなものを詰める悪循環に陥ることが多い。

 虫歯は「早期発見、早期治療」ではなく「発見は早く、でも治療は遅く」が岡田医師の口癖だ。虫歯をすぐ削って治すのではなく、定期健診をし、再石灰化を促すようにきちんとコントロールし、できるだけ削らないのが歯科医師の役割だ。自分の歯を守ろうと思ったらいい歯科医師と付き合わなくてはならない。「削るといわれたらちょっと待ってと、言う勇気を持ちましょう」と岡田医師はアドバイスする。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆ODH草の根歯科研究会 会員数250人。会報「はのねくさのね」を年3回発行するほか、歯科を職業とする人とそうでない人が一緒に考え、歯科保健文化をつくるための研究会。http://www.tonet.com/odh

December 2, 2006 09:47 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/7991