健康連載ブログ

2006年12月22日

こちら消化器科です

【第14回】50%がアルコール原因

急性膵炎(1)

 普段はそんなに大酒飲みではないのに、ここ数日はストレスが重なって深酒続き。そんなある日の明け方、みぞおちのあたりに鈍痛が起こり、どんどんひどくなってきた。吐いても痛みはとれないし、苦しくてあおむけに寝ることもできない。

 痛飲した翌朝、こんな症状があったら一刻も早く病院に駆け込むべきだ。急性膵炎(すいえん)を起こしている可能性があるのだ。国立病院機構仙台医療センター外科医長の武田和憲先生は「急性膵炎は初期治療が肝心。重症になれば命を落とすことも決して少なくないのです」と語っている。

 急性膵炎は、簡単にいえば膵臓が自分で分泌した膵液で消化されて起こる。膵臓は、胃の裏側にある長さ12センチほどの臓器で、インスリンやタンパクを消化する膵液を分泌している。消化液の中でタンパクを消化するのは膵液だけなのだそうだ。といっても、膵液をそのままステーキに垂らしても何も起こらない。実はこれがわが身を守る知恵。膵液は膵臓の細胞で分泌された後、膵臓の中を走る管(膵管)に集められる。そして、膵臓の中で胆汁の通り道である胆管と合流して十二指腸に出る。ここで、エンテロキナーゼという酵素と出会って初めて活性化され、タンパクの消化を始めるのだ。

 つまり、膵液は膵臓から外に出て、酵素と出会うまではタンパクを消化しないように仕組まれている。そのおかげで自分自身を消化しないですんでいるのである。武田先生によると、万が一、何かの手違いで膵液が膵臓内で活性化されても、その働きを抑える防御因子が出て「火消し」にあたるのだそうだ。それぐらい厳重に、膵臓は膵液で消化されないように守られている。

 ところが、この厳重な警戒を破って、膵液が膵臓の消化を始めてしまうことがある。その最大の原因がアルコール。急性膵炎の50%はアルコールが原因なのである。「楽しい酒や二日酔いで翌日は飲めないという人ならあまり心配はないのです。ストレスやヤケ酒で深酒が続いたり、短時間であおるような飲み方が危険なのです」と武田先生。そのため、昔から急性膵炎は中高年の男性に多い。しかし、最近はキッチンドリンカーの女性にも増えているそうだ。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆膵液 膵臓から1日800~1000cc分泌される無色透明のサラサラした液体。十二指腸でエンテロキナーゼという酵素によって活性化されると、膵液に含まれるトリプシンなどの消化酵素がタンパクを分解する。

December 22, 2006 09:56 AM

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