健康連載ブログ

2006年11月24日

予防歯科最新情報

【第46回】自然なコンポジットレジン

 「5秒前、4、3、2、1」。タイマーを見つめる歯科衛生士がカウントと同時にパレットの液体をつけた小さな筆を医師に手渡して歯に液体を塗り、ピストルのような器械で素早く青色の光線を当てる。同じタイミングの動作が3回繰り返される。ベル歯科医院(神奈川県海老名市)で行われている光重合型コンポジットレジンと呼ばれる特殊なプラスチックを使った、虫歯治療の光景だ。

 従来、奥歯の治療は金属の詰め物を入れていたが、虫歯の穴に色調の異なる3層のコンポジットレジンを地層状に重ねると天然歯と区別がつかないくらい自然な仕上がりとなる。「材料の特性を最大限にいかすには素材に合った使用法を守り、時間を厳守するのは当然」と、鈴木彰医師は厳密な時間設定の意味を説明する。

 全体的に削り、金属を入れる方法は健康保険でできるが、治療回数が3~5回かかるのに対し、この方法は型を取る工程もないので、1~3回で済む。

 治療手順は、まず虫歯を探知する赤い液体を歯に付け、病的な歯質を染め出し、悪い部分のみをピンポイントで削り取る。「健康な部分を必要以上に削らない」のが原則だ。残した歯は抗生物質を使う治療によって健全な状態に戻すことができる。神経の近くまで及ぶような深い虫歯で、昔なら神経を取っていたようなケースでも、神経を残すことができる場合も多い。「神経を抜いた歯は植物に例えれば枯れ木のようにもろくなってしまいます」と鈴木医師。

 コンポジットレジンの利点は透明性や色の再現性という見た目の問題だけではない。金属と比較すると軟らかいので、歯に入れた時の素材間のなじみもよく、強度や耐摩耗性も長期間の使用に耐える素材だという。鈴木医師はさらにメンテナンスがしやすいように治療した歯の表面に歯垢(しこう)がたまる段差がないように丁寧な仕上げを行う。

 保険がきかないため、1本3万~5万円と高価だが、一般的には一度治療した歯でも6~7年後には再発して治療をやり直す例は多い。やり直しのたびに、治療も大掛かりとなり、費用もかさむことを考えると、高価でも再発しにくい良質な治療を選ぶことは、合理的な選択なのかもしれない。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆コンポジットレジン 1980年ごろから普及し始めた。歯とこすれ合っても摩耗しにくいプラスチックで、歯の色が自由に再現できる。

November 24, 2006 09:04 AM

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