健康連載ブログ

2006年11月20日

予防歯科最新情報

【番外編】歯を削ってはいけない!!

 「歯は削ってはいけません」「歯は治療を何回もするほどに必ず悪くなっていきます」。予防に力を入れる歯科医師から繰り返し出てくるキーワードが「削ってはいけない」という言葉だ。

 私たちは長い間、虫歯の痛みをとってもらうことに気を取られ、削ることや、虫歯になった歯の神経を取ることが、歯やその後の人生に与えるダメージに無頓着だった。しかし、建造物なら、本体を削ったり、別の物質を詰めたり、接着したりを何度もすれば、ひびが入り、水がしみ込み、その部分から耐久性が落ちていくことは想像できる。

 歯も同じだ。歯は物をかむために毎日大きな力がかかるし、口の中には歯や歯茎にダメージを与えるさまざまな細菌もいる。このリスクを管理できるのがいい歯科医師だ。だが、残念ながら「歯を削ることに抵抗を感じる」予防中心の歯科医は日本全体ではまだまだ少数派だ。治療を繰り返し「最終的にいい入れ歯を作ること」が役割と考えている古いタイプの歯科医師はたくさんいる。

 歯科医院の経営者である医師の考え方をある程度、見極める目安となるのは、第1には歯科衛生士の存在だ。歯科衛生士は、歯のメンテナンスだけでなくカウンセリングや治療方針の説明などのプロだ。第2には院内に、患者に医療情報を分かりやすく説明する印刷物やビデオや写真などのビジュアルツールがあるかどうか。

 この2つから見えるのは、医院全体が医療に関する情報を患者に向けて発信している姿勢だ。情報を得ることで患者さんはお任せ医療ではなく、自宅で日常的にできる歯の手入れや食生活を工夫したり、治療法を自分で選んだりできるようになる。「削ること」に抵抗のある医師は、問題を医師1人が抱え込まずにスタッフや患者と共有する。情報発信型の医師をかかりつけ医として持つ患者は、通院によって「デンタルIQの高い患者」、つまり、歯の健康についての意識の高い人になるという。

 歯科医の「治療の腕」も大切だが、予防が徹底すれば、虫歯が減り、治療そのものがそれほど必要ではなくなる。逆に削り続ければどんどん治療が必要になる。矛盾を抱えた歯科医療は今大きな転換点にあるのかもしれない。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆リスク管理型医療 口の中の虫歯や歯周病になりやすさのリスクを調べて、その人の状況に合わせてコントロールしていくこと。

November 20, 2006 10:02 AM

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