健康連載ブログ

2006年11月18日

予防歯科最新情報

【第41回】自費で定期健診とメンテナンス

 「僕が定期検診をしている8歳の子どもですが、一家で帰省した時に前歯をぶつけて、その町にある歯医者さんに行ったら『永久歯に虫歯があるので削りましょう』と指摘されたというのです。歯は少し変色していた程度で全く虫歯ではありません」と苦々しい口調で話すのはこいけ歯科医院(川崎市)の小池匠医師だ。

 小池医師に限らず、予防に力を入れている歯科医師は「歯を削る」行為に対してとても慎重だ。特に子どもの歯には敏感で、生えたばかりの永久歯に金属の詰め物などが入っているのを見ると、まるで宝物に傷が付いたように「不当なこと」と感じるようだ。というのも、子どもの虫歯は、歯磨きや食生活の指導と、フッ素の塗布、歯の溝を埋めたりすることによって、進行を止め、永久歯を守るさまざまな手だてがあるからだ。これは大人にも共通する。だが、医師に「虫歯ですから治療しましょう」と言われ「嫌です。削らずに経過を観察してください」と断ることができる患者は少ない。

 背後には健康保険の仕組みの問題がある。日本の健康保険制度は、病気になった時、治療を助ける制度で、予防という考え方はほとんど含まれない。保険医療は、どんな素材を使って、どんな治療を行うのか、頻度は何回なのかなど、保険でまかなえる範囲や方法が細かく規定されていて、それ以外は行えない。予防に力を入れている歯科医師が、有効だと考える方法は、保険ではまかなえなかったり、それができても十分な回数ではなかったりする。経営的に見ると、健康保険制度を中心に歯科医院を経営していくためには、予防より治療を行う必要がある。

 一方、予防に力を入れようと思ったら、歯科医院は患者が全額を自分で負担する自費の治療メニューを多く提供することになり、サービス業化する。自費で歯のプロフェッショナルクリーニングや定期検診を行う費用は、美容院やエステやマッサージに1回行く値段と大差はない。

 積極的に治療を行う歯科医院に通い、将来的に入れ歯や差し歯などの人工歯にお金を払うのか、予防を中心に考えるかかりつけ医を見つけて定期検診とメンテナンスに時間と費用をかけるかは、患者側が選んでいくことになる。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆2005年歯科疾患実態調査 厚生労働省の最新調査によると、治療のあるなしにかかわらず20本以上の歯を持つ人は40~44歳で98%。65~69歳では57%と急激する。

November 18, 2006 09:57 AM

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