健康連載ブログ

2006年11月17日

予防歯科最新情報

【第40回】模型で5年後の歯型観察

 自営業のSさん(30)は、5年ほど前に別の歯科医院で治療した上の歯の根元に痛みを感じて笠島歯科室(東京都豊島区)を受診した。笠島生也医師は、Sさんが訴える歯だけでなく、ほかの歯の状態も診察し、Sさんに鏡を渡して説明を始めた。「歯のここ、何となく曇った感じで美しくないですよね。まずこれをきれいにして感染源を取ってちゃんと治しましょう。虫歯自体は大したことないですよ」。

 一般に「ぱっとすぐ治してくれる」は、歯医者さんに対する褒め言葉として使われる場合が多いが、笠島医師の口癖は「10年、20年先を考え、一緒にじっくり考えていきましょう」だ。「はい。この鏡を持って見てくださいね。この奥歯ですが、下の歯を抜いてあるので、上の歯はどこにも当たっていないのが分かりますね。上の歯って当たるところがないと、どんどん下に下がってくるんです」と、かみ合わせを一緒に確認していく。

 Sさんは数年前に歯を抜いた場所をそのままにしていた。抜歯したところには、ブリッジと呼ばれる歯を入れる方法が一般的だ。だが、ブリッジは1本の歯を入れるために両脇の2本を削って支えにする。こんな場合、笠島医師は本人の希望を聞きながら、慎重な経過観察をする。「上の歯が下がってくると、かみ合わせのバランスがおかしくなり、歯ぎしりや食いしばりが起きるかもしれません。それは歯に負担をかけることになります。しかしそれが必ず起こるかどうかは分からない。本当に今、人工歯を入れる必要があるのかどうかは慎重に見る必要があります。そのためにも観察が必要です」。

 Sさんは次回に歯全体のエックス線を撮り、歯の上下の模型を作ることとなった。笠島歯科室では、希望する患者は自分の歯型の模型をもらうこともできる。「歯の模型をお渡しすることで、患者さんは5、6年の間に自分の歯が移動しないかどうか、観察することができます」と笠島医師。「僕はできるだけ歯を削りたくないし、自分の治療した歯は2度と虫歯が再発してほしくない。再発しない治療を目指します」。歯を生涯にわたって守るには、長期的な視野で、口の中全体のバランスを患者と一緒に考えること、と強調した。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆歯の模型 歯科医院で型を取ったときに作る石こうの模型。歯や歯茎の形状、かみ合わせが分かる。一般に医院で保管されている。

November 17, 2006 08:35 AM

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