健康連載ブログ

2006年11月12日

予防歯科最新情報

【第35回】歯を食いしばってませんか?

 「これまでに歯ぎしりしているとか、歯を食いしばっているって言われたことはありますか?」「いやあ、特には。寝てる時ですか? 今度主人に聞いてみますけど」。

 初診で訪れ「歯が腫れて浮いた感じがするんです」と訴える50代の主婦A子さんを診察したが、歯に特に炎症はない。歯そのものに炎症がないのに、歯が浮いた感じや頭痛などを訴える時には、歯周病と歯の食いしばりの問題が考えられると、笠島歯科室(東京都豊島区)の笠島生也医師は説明する。

 「上下の歯があたるというのは1日にほんの10分ほどです。食べている時には、歯の間に物がありますから音はしませんよね。でも日常から食いしばる癖があったり、寝ている時に歯ぎしりをしていて、それが許容量を超えると、歯や歯茎に大きな負担となり、トラブルの原因となります」。

 笠島医師は、手鏡をA子さんに渡し、左右にあごを動かしてもらいながら説明する。「下の歯のここだけが鋭角に削れています。歯が強くあたって歯茎が下がってきているのではないかと」。笠島医師はA子さんの症状の背後には、無意識のかみしめや、歯ぎしりがあると考えている。

 「日常生活の中で9割以上の人が歯ぎしりやかみしめをしているというデータもあります。歯の摩耗や歯がしみる、歯肉炎や歯周疾患のほか、頭痛や腰痛の原因となることがあるのです」。

 かみしめなどの悪い癖を直すには、まず自分がそれを意識することが大事だという。「唇を閉じて上下の歯を離し、顔の筋肉の力を抜きましょう」と笠島医師は体に悪い癖を自分で改善していく方法をアドバイスしている。

 A子さんは確かに自分はこれまでつらいことがあってもかなり頑張ることができると自負していた。比喩(ひゆ)だとばかり思っていた「歯を食いしばって頑張る」という行為が、文字通り自分の歯を食いしばることで、それが歯やあごにダメージを与えるとは思いも寄らなかった。

 A子さんは次回の診察でエックス線などの検査を行い、その結果を基に、笠島医師が歯周病の治療や、かみしめや歯ぎしりについての治療方針を立てることが決まった。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆かみしめ 精神的なストレスや仕事などに集中しているときに無意識にしやすい。歯やあごの痛みを誘発することもある。

November 12, 2006 10:38 AM

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