健康連載ブログ

2006年11月07日

予防歯科最新情報

【弟30回】治療の接着に綿密な強度計算

 「マンションは耐震強度計算を行っているのに、歯の治療の接着には具体的な強度計算といった考え方はほとんど導入されていない。勘や経験に頼っているのが現実です」と指摘するのは、太田歯科医院(東京都豊島区)の太田裕明医師だ。歯の治療は物理的な面では、数十年、あるいはもっと遅れているのかもしれないという。

 太田医師は歯科医師を集めた研修会で、歯の治療に「力」という考えを取り入れ、いかに生涯にわたり歯を守っていくかという技術について講義を行っている。

 05年の厚生労働省歯科疾患調査では、日本人の80歳の残存歯数は約10本。これは米国の15本やスウェーデンの20本に対して遅れた数字だ。その最も大きな原因は歯科医師を含む国民すべてに「予防」という意識が低かったことだ。歯の予防とは、一般的には徹底したクリーニングとフッ素塗布を行い、虫歯や歯周病の細菌を減らしたり歯や歯肉の抵抗力を高めることをいう。ここ5、6年で、日本でも予防に取り組む意識が高まり、最近は子どもたちの虫歯も減少している。

 しかし「すでに多くの歯を削って治療してしまっている人は、これまでに続けてきた削って詰めるといった耐久性の低い治療のために、60代を待たずに歯を急速に失ってしまう可能性が高い」と、予防に取り組む医師は異口同音に指摘する。「一度削ってしまったところは一生そのまま持ちこたえる可能性は低いのです」と太田医師も説明する。削って詰めたりかぶせる治療は、歯に人工の材料を接着する治療で、長年の間には接着剤が劣化し、すき間ができるためだという。

 「歯にかかる力をコントロールするための技術は実は古くから研究されている」。しかし、それを実際に取り入れて治療を行おうとすれば、通常の数倍の治療時間と、特別なかみ合わせなどの技術の習得と材料、設備、技工操作などが必要となる。「これからの歯科界は工業界のように構造的な見地での綿密な計算のもとに技術開発が行われていく必要がある。歯科医師は患者の歯を生涯にわたって守るために最善を尽くす努力が必要です」と太田医師は科学的根拠に基づく治療の必要性を力説する。

 ◆厚生労働省歯科疾患調査 05年度の調査で、80歳で20本以上の歯を有する人の割合は、初めて20%を超えた。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0602-2.html

November 7, 2006 12:33 PM

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