健康連載ブログ

2006年11月06日

予防歯科最新情報

【第29回】歯にかかる力をコントロール

 「外れた金属の内面を見てください。黒くなっていた部分は、長い間、接着剤がはがれかかって、金属と歯の間の一部にすき間があいていたところなのです」。食事中に金属が外れて来院した初診のY子さん(58)に、静かな口調で虫歯の原因の説明を始めたのは、太田歯科医院(東京都豊島区)の太田裕明医師。

 歯を守るために歯に接着してある金属は、かみ合わせが正しくないと、夜の間に毎日、自分の体重と同じくらいの力で揺すられていると、太田医師は指摘する。「一度治療した歯が再び虫歯になるのは、歯の周りにいる細菌の問題だけでなく、歯にかかる無理な力も大きな原因です」。

 ここは保険診療ではなく自費診療を中心に行う医院で「すでに歯をたくさん削ってしまい金属などを接着してある成人が、生涯にわたり歯を守れる治療」を真剣に考える歯医者さんだ。「歯に金属をかぶせる場合には、一般的にはほとんど行われていないあごの動きの検査を行い、歯にかかる力の方向をコントロールした金属を作ることで、歯の寿命は大幅に伸ばすことができます」と太田医師。

 多くの人がしているにもかかわらず、自分では気付かない夜中の歯ぎしり、くいしばりを抑制する治療を必要に応じて行うのも特徴だ。「生涯にわたり患者さんの口を管理させていただくという前提に立ったとき、ただ失われた機能を回復させるだけでなく、歯の喪失の原因である力を積極的にコントロールすることが大切です」。これにより将来の歯の喪失や虫歯、歯周病も予防しようとする。

 従来のように虫歯になった歯を1本ずつ、そのたびごとに治療していくのではなく、口の環境全体を整えるための綿密な治療計画を、まず立てることになる。

 レーザー光線を利用した虫歯診断、唾液(だえき)の中の虫歯菌、歯周病菌の検査、唾液の量や酸性度などの検査、あごの関節の診査、かみ合わせの検査、歯周病の状態の検査、歯ぎしりの強さの診査などを行い、患者さん1人1人に必要な治療計画が立てられていく。

【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆歯ぎしり 精神的ストレスを発散しようとして無意識に歯をくいしばったり、歯ぎしりをすると、歯茎がダメージを受け、歯周病の原因にもなる。

November 6, 2006 12:50 PM

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