健康連載ブログ

2006年11月02日

予防歯科最新情報

【第25回】人工歯も透明感ある自然な色

 カシャ。「はい次の色」「はい次」。カシャ。診察台のK子さん(30)の前歯の横に、歯科衛生士が人工歯のサンプルを次々に並べる。馬見塚デンタルクリニック(東京都中央区)の馬見塚賢一郎医師が、接写レンズをつけた大きな一眼レフカメラで手早くその口元を撮影する。

 歯の見本は、色や透明度や表面の質感など、実にさまざまなタイプがある。20枚以上の写真が撮影され、K子さんの口元に合った自然な人工歯を細部まで再現することになる。一般の歯科医院では人工歯の色を何種類かの既成の色の中から選ぶ程度で、ここまでこだわる医師は少ない。

 K子さんは日比谷で働くOL。中学生の時に虫歯になった前歯を抜き、隣の歯も虫歯になってしまったため、前歯3本はすでに差し歯になっている。だが、不自然に大きく真っ白な差し歯3本とやや黄色がかった自分の歯のバランスにずっとコンプレックスがあった。最近、その前歯が痛み始めた。診察の結果、根の部分が病気になっており、1カ月の根管の治療後、新しい差し歯を作ることになった。

 K子さんは「前歯4本か、6本でも全部差し歯にして自然にしてください」と頼んだ。しかし、馬見塚医師の答えはノーだった。肩を落とすK子さんに「でも自然な歯にはできますよ」と馬見塚医師は笑顔で答える。「僕は医師ですから、見た目のために健康な歯を削ることはできません。患者さんの本当の望みは人工歯を入れたいのではなく、自然な見た目ではないでしょうか。それを実現することは医師の使命であり、努力で可能なことです」。

 この医院で人工歯を入れる場合には、その人の歯の色や形や特徴を写真で丁寧に撮影し、質感や、時には着色、微細な傷までを隣の歯に合わせ、忠実に再現する。じっと観察してもまったく人工歯には見えない歯に仕上げる。

 K子さんの白すぎた3本の差し歯は、自分の歯に近い小さめで少し黄色がかった透明感のある歯になり、長年の笑顔コンプレックスからも解放されたのだった。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆差し歯の種類 陶材を焼いて作ったポーセレンジャケット、金属の鋳物に歯と似た陶剤を焼き付けたメタルボンドポーセレン、ガラスを固めたオールセラミックの3種類がある。

November 2, 2006 12:16 PM

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