健康連載ブログ

2006年11月01日

予防歯科最新情報

【第24回】「受け口」矯正と外科手術

 Y子さんは子どものころから上の歯列よりも下の歯列が前にあり、下あごが前に出たいわゆる「受け口」で、これを中学時代からとても気にしていた。高校3年生の時、思い悩んだ末に母親と矯正歯科専門医院である田中矯正歯科の田中千元医師(千葉県市川市)を訪れた。

 田中医師は、かみ合わせも悪く、矯正歯科治療だけでは、受け口を治すのは無理な顎(がく)変形症と診断。矯正歯科治療とあごの外科手術を併用して治療する方法を提案した。当初、Y子さん親子は美容整形的なことなのではないかと戸惑った。

 「手術は外見のことを最優先にしたのではなく、あごの変形から見て、医療的に必要な選択肢でした」と田中医師。矯正歯科治療の目的は、歯並びを整え、かみ合わせを良くし、食物をきちんとかめる環境を作るための医療行為であり、見た目の美しさはその結果として一緒に得られるものと、説明している。「あごの手術をして不正咬合(こうごう)を治す時に、調整できる顔のラインをどうバランスよく整えるのか、患者さんの希望も確認しながら、コンピューター上で慎重にシミュレーションし、考えていきます」と田中医師。

 一連の治療を決断したY子さんは高校3年の時に1年間、歯並びの術前矯正歯科治療を行った。そして高校卒業後、田中医師が紹介した東京歯科大学市川総合病院歯科口腔(こうくう)外科で、前に出ている下あごを、上あごに合わせるように後方へ移動する手術を行った。その後、大学に通いながら1年ほど術後の矯正歯科治療を行った。2年間を要したが、受け口はすっかり治り、何でもよくかめる整った歯並びと、バランスの取れたきれいな横顔とを手に入れた。

 あごの外科手術は、世界中に普及し、安全性の高いものではあるが、術後数日間は顔がひどく腫れる。「本当に腫れます。数日は鼻のカテーテルからの経管栄養になります」と田中医師。これだけはあらかじめ覚悟が必要と強調する。田中矯正歯科は、都道府県が認めた保険医療機関である「顎口腔機能診断施設」なので、外科手術だけでなく、矯正にも健康保険が適用できた。このため、矯正と外科手術にかかった費用はトータルで約70万円だった。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆日本臨床矯正歯科医会 日本で30年以上の活動歴を持つ矯正歯科専門団体。http://www.orthod.or.jp/

November 1, 2006 08:54 AM

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