健康連載ブログ

2006年11月16日

予防歯科最新情報

【第39回】30代は入れ歯の曲がり角

 「20代に前歯の1本が虫歯になり、白いプラスチックで治療をしたのですが、それが何年かに1度はとれてしまいます。今回もとれたので治したいのですが、できれば前歯をきれいにしたいので2本差し歯とかにできないかと…」。

 派遣会社に勤務するA子さん(30)は、おしゃれや食べ歩きなど趣味も多く、活動的な女性だが、歯が弱く子どものころから虫歯に悩んできた。特に前歯にはコンプレックスがあるという。訴えを聞き、口の中を診察した笠島歯科室(東京都豊島区)の笠島生也医師は「分かりました。前歯のことは少し後で考えましょう。まず今日はそのとれた前歯の部分をきれいに治しましょう」と準備を始めた。

 「新しいきれいな前歯を作ってほしい」と意を決してやってきたA子さんは、自分の望みとは違うことを提案された気がして内心少しいら立っていた。そんなA子さんの気持ちを察するように笠島医師は話し始めた。

 「僕たちの仕事は、歯をずっと残すことなんですね。世界の先進国では、実はもう虫歯も歯周病も珍しい病気なんです。口の中を拝見したところ、A子さんの歯は随分治療のあとがあります。若いのに心配です。いつも歯の磨き方が悪いからだって言われてきたでしょう。でもみんな一生懸命磨いています。今までの治療は何かが間違っていたのだと思います。治療するにしても患者さんと僕たちが何を目標にするのか、ゆっくり話し合いましょう。この先、30年も40年も使っていく大切なものなのですから」。

 笠島医師は、A子さんのこれまでの治療歴により口の中の全体環境が良くないことを把握した上で、将来的に歯を失わないためには、長期的な計画が必要なことをこんな言葉で伝えた。「まず、歯のメンテナンスを始めましょう。クリーニングを定期的にし、口の中の状態を整えると、歯茎の色や形もきれいなります。それからきれいな前歯を入れる方法を一緒に考えていきましょう」。

 A子さんは、全部が理解できたわけではなかったが、笠島医師がこれまでの歯科医療とは違って、長期的な歯の健康管理を自分のために考えてくれることを知った気がした。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆メンテナンス 歯の掃除や定期検診のほか、歯の磨き方、食生活のアドバイス、歯周病の検査などを行うために定期的に歯科医院に通院すること。

November 16, 2006 08:52 AM

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