健康連載ブログ

2006年10月30日

予防歯科最新情報

【第22回】矯正で歯周病対策

 Tさんは60歳。30年勤めた証券会社を、先日退職した。在職中から気になっていた虫歯を治そうと行った歯医者で、歯周病であることを指摘された。

 あらためて自分の歯を鏡で見ると、歯がねじれたようにバラバラな角度で並び、出っ歯も前よりひどくなり、歯の色も茶色くなっている。「歯並びはどうにもならないですよね」とTさん。歯科医は前歯を差し歯にすることを提案し、きれいな差し歯にするには、まず土台となる歯並びを矯正する方法もあると説明した。

 「せっかく治すならきれいな口元になりたい」と思ったTさんは早速、紹介された矯正歯科専門の斎藤矯正歯科(千葉県八千代市)を訪れた。

 「Tさんは歯周病で歯が揺れていましたが、歯そのものは虫歯ではない。まず歯のクリーニングを行い、歯周病の治療を行ってから、歯並びの矯正をしました」と斎藤健志医師。

 Tさんは歯に矯正用のワイヤをかけ、歯を少しずつ動かす器具の調整と、クリーニングに毎月通った。1年後、歯列は驚くほどきれいに並び、歯もクリーニングによって白くなった。「これなら自分の歯を削って差し歯にするまでもない」とTさんは大喜び。自分の歯を生かしたいというTさんの希望を受けて、斎藤医師は揺れている前歯6本を裏側から細いワイヤで固定し、揺れを止める方法を取った。

 歯周病は治療によって進行を抑えられるが、すでに揺れている歯を自然治癒力で固定することはできないためだ。Tさんは今も3カ月に1回定期的に斎藤歯科医院に通い、メンテナンスと歯周病予防のため、クリーニングを続けている。

 Tさんの矯正は複雑なものではなかったので、矯正にかかった費用は全部で20万円。セラミックの差し歯なら1本が8万~10万円であることを考えると、価格も安い。さらに今後も自分の歯で食べられるメリットは大きい。歯並びが整ったことで、歯磨きが楽になり、歯周病の進行も抑えられる。

 「歯1本ずつの形が悪い人は少ない。歯列を整えることで、口元の印象は良くなり、結果的に自分の歯で食べられる時間を延長できたケースです」と斎藤医師は話す。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆差し歯 歯を削ってその周りに人工歯をかぶせたり、根だけになった歯に支柱を立て、そこに人工歯をかぶせること。人工歯の素材には、金属やプラスチック、セラミックなどがある。

October 30, 2006 10:14 AM

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