健康連載ブログ

2006年10月24日

予防歯科最新情報

【第16回】一緒に頑張ってくれる歯科衛生士

 「お疲れさま。もうお口閉じていいですよ。これまで随分いろいろな治療を受けてきてご苦労なさったのね。大変でしたねえ」。虫歯の治療のために初めて行った歯科医院の診察室。歯科衛生士という名札をつけ、白衣を着た女性が口の中を診察した後に、K子さんの両ほおを手のひらで包み、あごを優しく閉じてくれながら、こう言った。

 こいけ歯科医院(川崎市)では、医師の診察とともに必要に応じて歯科衛生士がカウンセリングを行い、今後の口腔(こうくう)管理の計画を立てるシステムになっている。歯科衛生士の田中法子さんは歯科臨床・心理カウンセラーでもある。患者のK子さんは46歳の専業主婦。5年ほど前に別の街に住んでいた時に治療した歯の根元が虫歯になり、初めて来院した。

 子どものころから歯が弱く、歯医者さんと縁の切れたことのない人生を送ってきた。20代ですでに3本の歯を抜き、今は奥歯もほとんど金属で覆われた状態だ。就職や結婚や引っ越しなどで住居が変わったせいもあるが、子どものころから数えてみると、実に27人の歯科医から治療を受けている。それはすべて、虫歯を削ってかぶせる治療だった。歯科の治療とはそういうものだと思ってきた。

 「歯が弱いことはコンプレックスですね。お金もかかるし。いくら磨いても不十分だと言われ、次々に虫歯になるのは自分の責任か体質のせいとずっと思ってきましたから」。

 歯科医院が嫌いで怖くて仕方がない人は少なくない。特に40代以上では、過去の間違った治療方針により、歯全体の状態がK子さんのように悪化している患者は少なくないという。しかし「今からでもあきらめる必要はありませんよ。きっと良くなります」と歯科衛生士の田中さんは力強く言う。「歯や唾液(だえき)の質など、口の中の環境により虫歯になるリスクは違いますが、それをコントロールするのが私たちの仕事です。虫歯になってしまった歯の治療はもちろん必要ですが、口腔内を整え、虫歯や歯周病にならない健康な口をつくることです」。

 「一緒に頑張っていきましょうね」と言う医師と歯科衛生士の笑顔を見てK子さんは初めて歯科医療にかすかな希望を感じた。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆リスク 虫歯という感染症には、細菌だけでなく、ストレスや生活習慣などの要因があると言われる。そのリスクを知り、コントロールすることを予防歯科という。

October 24, 2006 11:13 AM

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