健康連載ブログ

2006年10月18日

予防歯科最新情報

【第10回】高齢者や障害者に優しいバリアフリー

 「僕の歯科医としてのアイデンティティーが揺らいだのは、十数年前、自宅のベッドで生活する若い筋ジストロフィーの男性患者さんの口の中を診た時です」と話すのは、オフィスビル聖路加タワーの1階にある馬見塚デンタルクリニック(東京・中央区)の馬見塚賢一郎医師。

 それまで在宅の患者の訪問医療の経験がなかった馬見塚医師が見たのは、病気で歯科医院に受診できなくなり、全体がボロボロになった青年の歯だった。歯科医がさまざまな治療を行っても、その後、メンテナンスができなくなった場合には「治療しなかった歯より、歯科医が何度も治療した歯の方がひどい状態になっている」ことを目の当たりにした。

 外出の難しいこの青年の歯を馬見塚医師は、訪問治療で時間をかけて治療し、定期予防のシステムを作り、現在もその時の歯の状態を維持している。「歯科医は虫歯でできた穴を削って詰めることはできても、健康な歯に戻すことはできない。一度治療をした歯は結局、時を経て再発と治療を繰り返し、徐々に悪くなってしまう。歯科医療の限界をこのとき実感し、予防の大切さを再確認しました」。

 馬見塚デンタルクリニックは、こういった馬見塚医師の信念を基に予防歯科をメーン据え、バリアフリー設計でデザインされた大規模なクリニックだ。

 定期メンテナンスを受けに地方からやってくる患者もいる。知的障害などを持つ人のほか、車いすやストレッチャーに乗った患者も受け入れるため、院内には広い通路があり段差もなく設計されている。

 診察台が9台あるおしゃれな院内は活気があり、救急救命の方法を書いた張り紙や、酸素ボンベ、救急救命のための最新装置ARD(体外式自動除細動装置)なども整備されている。「必要に応じて治療前に血圧も計ります。また感染症を持つ患者への適切な対応も必要です。設備を整えて危機管理を行うのは医療機関として当然のことです」。都会の真ん中で最先端のシステムと下町の人情を備えた空間には、ビジネスマンだけでなく、多くの子どもや妊婦さんもやってくる。

 【ジャーナリスト月崎時央】

 ◆バリアフリー設計 障害のある人や弱者と健常者が、壁を感じる事なく、ともに快適に利用できるようデザインされたもの。

October 18, 2006 10:06 AM

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