2006年10月07日
ハイテク医療最前線
【最終回】過剰傾向にある画像検査/東京慈恵医大病院福田国彦教授
画像診断(3)
現代医療のキーワードともいわれるのが画像診断。技術の進歩で微細な病変部をとらえられる。健康診断、人間ドックなど病気の1次予防、2次予防(早期発見)でも活用されている。
胸部エックス線撮影がよく行われる肺検査でも、CT検査が普及し始めている。93年に肺CT検査を会員に推奨している東京都予防医学協会のデータでは、10万人あたりの肺がん発見率が、CT導入後は163人から433人に向上したとしている。
現在、日本には1万台以上のCTが導入されている。世界のCT台数の3分の1を占めている。MRIも6000台近い。日本は画像診断王国なのである。
東京慈恵会医科大学付属病院の画像診断部部長の福田国彦教授(放射線医学講座)は「CTとMRI合わせて1万6000台に対し、画像を見て診断(読影)する画像診断の専門家は4000人程度しかいません。人口比でいうと、米国の3分の1以下です」と日本の現状を憂慮している。
診療の中で画像診断は各科の医師からの依頼によって行うのが基本。放射線技師が撮影し、画像診断医が読影を行って依頼医師に結果が戻される。CTにしろMRIにしろ、映し出された画像をどう読影するかは、画像診断医の熟練度に依存する。
膨大な枚数(データ)を撮影する画像から的確なものを判断するのは容易ではない。各科とも専門化が進み、担当外の病変はよく知らない場合も結構ある。そうした事情があるにもかからずCT、MRI合わせて1万6000台、画像診断専門医4000人の状態。
欧米では画像診断には画像診断医が必ず関与するが、日本ではCT、MRIが読影されている割合は30%程度ともいわれている。患者がCTやMRI検査を当たり前のように思っている“常識”も実は問題。
「欧米では担当医が必要ないと判断したら画像診断まで行いません。日本では画像検査が過剰になる傾向にあります」と福田教授。
値段の高い機器を入れたのだから利用しない訳にはいかない医療経済的な側面も大いにある。「画像診断は病気治療の重要な手段です。でも正しい使い方をしないと医療費が膨れ上がるばかりであることをあらためて認識してもらいたいですね」と福田教授は締めくくる。(おわり)
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆病理医不足 がん細胞などの最終的な確定診断をする病理医の不足も深刻。大学病院でも日本では各領域の専門病理医がそろっているところはない。担当医が病理検査を行うケースが多い。見逃しや誤った判断が起こる可能性が常にある。医師偏在の問題は小児科や産婦人科不足ばかりではない。
October 7, 2006 09:05 AM
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