健康連載ブログ

2006年10月06日

ハイテク医療最前線

【第86回】血栓タイプ識別しリスクも予測/東京慈恵医大病院福田国彦教授

画像診断(2)

 最新鋭機器が続々、登場しているCT(コンピューター断層撮影)は、病気診断・治療に大きなウエートを占めている。通常のエックス線撮影は体の内部が1枚の平面写真になる。全体が重なり合うため、隠れてしまう部分がどうしてもある。

 撮影器が体の回りを回転し3次元に再構成するCTでは重なり合うことはない。最先端の64列タイプは0・3ミリ間隔で64の輪切り(スライス)映像が得られる。コンピューターの性能アップや診断データの蓄積もあり、これまで分からなかったものが画像診断できるようになっている。

 2管球マルチスライスCT装置を今年導入している(稼働は今後)東京慈恵会医科大学付属病院映像診断部部長の福田国彦教授(放射線医学講座)は「心筋梗塞(こうそく)を起こす血栓のタイプまで画像診断が可能になっています。血栓にはコレステロール分が多いもの、線維化しているもの、石灰化している3つのタイプがあり、エックス線の吸収率が違うので判別できます。血栓症を起こすのはコレステロール分の多い血栓です。画像診断でリスクが予測できます」と話す。

 心臓の検査では冠動脈の状態をカテーテルを入れてエックス線で調べる方法が通常だが、検査には入院が必要。カテーテルが血管を傷つけたり、血の塊が飛んで他の血管に詰まる危険性もある。

 「大学病院や総合病院に設置してあるマルチスライスタイプのCTなら、外来で心臓CTができます。診断目的の心臓カテーテル検査は今後、不要になるかもしれません。心臓以外でもマルチスライスCTで得た3次元画像を使って手術前のシミュレーションが普通に行われるようになるでしょう」。

 もちろんCTが万能ということではない。基本的にはエックス線撮影なので、被ばく量への配慮は必要だし、より鮮明な画像を得るために使われる造影剤の副作用の問題もある。脳、脊椎(せきつい)、関節などの変化は、MRI(磁気共鳴画像装置)の方が威力を発揮する場合も多い。胎児検査では超音波診断が使用される。

 「画像診断装置は確かに長足に進歩しています。ただ、これらの画像を誰がどう解釈して治療に反映させるが重要です。技術に追いついていない現実もあります」と福田教授。
 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆MRI 身体中に一番多い水素原子のスピン状態の信号(ラジオ波が出る)をコンピューター解析をして生体組織の画像をつくる。エックス線は使わないが、CTより検査時間(30分程度)は長くなる。CTと画像診断の2本柱になった感があり、慈恵医大病院では1日にCT150人、MRI90人の検査をしている。

October 6, 2006 12:28 PM

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