2006年10月05日
ハイテク医療最前線
【第85回】心臓CTはより優しく、鮮明/東京慈恵医大病院福田国彦教授
画像診断(1)
エックス線写真でおなじみの画像診断は、ハイテク医療最前線の申し子のような存在である。エックス線を発見したW・レントゲン博士は第1回(1901年)ノーベル物理学賞に輝き、CT(コンピューター断層撮影)技術を開発したG・ハウンズフィールズ博士とA・コーマック博士は1979年、MRI(磁気共鳴画像装置)の原理を発見したP・ラウターバー博士とP・マンスフィールド博士は2003年に、それぞれノーベル医学・生理学賞を受賞している。
東京慈恵会医科大学付属病院放射線科画像診断部の部長を務める福田国彦教授(放射線医学講座)は、画像診断の進展ぶりを次のように話す。
「脳、心臓、肺、消化器、骨など体のあらゆる部分の精密な画像を撮ることができるようになりました。より早く、より優しく、より鮮明に、ということでは、ここ数年の進歩には目を見張ります」。
その代表的存在がマルチスライスCTと呼ばれる最新画像診断機器。常に動いているため、鮮明な画像が撮れなかった心臓もはっきりと3次元で確認できるようになってきている。
CT(コンピューター・トモグラフィー)はエックス線照射で得られた体内部の情報をもとに、コンピューターで画像を再構成するのが基本原理。組織ごとにエックス線の吸収率が違うため、これを計算し画像として再構成するのである。
「例えば心臓などの陰に隠れて単純エックス線写真で見え難い肺がんがあったとしてもCTでは心臓や血管に重なることなく、がんを映し出すことができます」と福田教授は説明する。
70年代に初めて登場したCTは現代医療を飛躍的に進展させたと評価され、現在はさらに高機能になっている。昨年12月に開発された2管球64列マルチスライスCT装置(シーメンス製)は、エックス線を照射する管球が0・33秒で1回転し、64列ある検出器がデータをキャッチする。
「管球が1つだったものが2つになったため、0・08秒で画像データを収集します。そのため心臓の検査が従来の半分の時間で撮影できます」。
速く撮影できるので心臓CTのエックス線の被ばく量も大幅に減り、より優しく、より鮮明に、を実現している。
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆マルチスライスCT エックス線検出器を複数にすることで鮮明な立体画像を可能にしている。98年の登場以来、4列、16列、64列とあっという間に進化し、エックス線管球が2つになったタイプも開発された。
October 5, 2006 08:53 AM
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