健康連載ブログ

2006年10月04日

ハイテク医療最前線

【第84回】内視鏡に組み込み患者負担少なく/聖マリアンナ医大橋本卓雄教授

電磁場メス(3)

 脳腫瘍(しゅよう)ができる原因は何なのか。実はよく分かっていない。肺がん、乳がん、腎臓がんなどから転移した脳腫瘍を別とすると、危険因子としてはっきり指摘されているものは今のところない。はっきりしているのは脳腫瘍ができると生命維持から知的活動まで阻害されやすく、腫瘍を取り除くことが必要になることだ。

 脳腫瘍は脳内にできた、がんではあるが、他の臓器がんと同じように扱えない面が多い。治療によって脳機能を失ってしまえば、取り返しのつかないことになってしまう。

 高熱(250度)により腫瘍を蒸発・気化させてしまう電磁場メスの開発協力者となった聖マリアンナ医科大学病院脳神経外科の橋本卓雄主任教授は次のように話す。

 「脳腫瘍治療は、他のがん治療以上に機能の維持を考えて進める必要があります。最新鋭の用具、装置もどのように使えば脳機能を回復させ、また維持できるが基本的ポイント。腫瘍そのものは良性でも、発生場所によっては危険な状態を招くことがあります」。

 脳腫瘍の多くは、大脳、間脳(下垂体などの部分)、小脳の部分にできるが、頭蓋(ずがい)骨内のどこにでもできる可能性はある。摘出手術が行えない場所もあり、そうした際は放射線治療、抗がん剤治療が選択される。

 また、開頭せず、頭蓋骨に小さな穴を開けるだけの内視鏡手術も行われるようになってきている。内視鏡装置に電磁場メスを組み込んで脳腫瘍を取り除く。執刀医の熟練技術が要求されるが、患者の体への負担は少なくなる。

 完治は難しい脳腫瘍でも多くの場合、手術や放射線療法、化学療法で一定の効果は得られている。再発した際も治療でコントロールできることも少なくない。

 「脳腫瘍治療は簡単とはいえませんが、最近の医療技術の進歩はめざましいものがあります。治療法の選択肢も多くなり、積極的に治療に取り組める病気であることを知っておいてほしいと思います」と橋本教授はアドバイスを送る。

 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆遺伝子治療研究 脳腫瘍の細胞に特定の遺伝子を送り込み、腫瘍細胞を殺したり、遺伝子異常を正常化させる研究も行われている。ヘルペスウイルス遺伝子を腫瘍細胞に入れ、抗ウイルス剤を投与することで、腫瘍細胞を死滅させる自殺遺伝子治療などがあるが、実用化にはまだまだ時間がかかりそうだ。

October 4, 2006 08:56 AM

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